デュ・プレの延長?

こんな青空、なかなかありません

再びジャクリーヌ・デュ・プレのCDを聴いていたら、St-Germain-des-Pres 教会のことを思ひ出した。サン=ジェルマン=デ=プレ教会は巴里セーヌ左岸、パリ6区のこの界隈には骨董屋やギャルリー、古書店が軒を連ね、細い路地が入り組み、落ち着いた雰囲気の中心にある。個人的には巴里で一番好きな教会であり、時間が許せばしきりにこの界隈にやってきて、裏通りの小さなカフェで何時間も過ごしてゐた。カフェといっても教会脇に居並ぶ老舗ではなく、エコール・デ・ボザール側に少し入ったヤコブ通りに面した名もないカフェだ。第2次世界大戦後の実存主義全盛時代、カフェ・ドゥー=マゴやカフェ・フロール、ブラッスリー・リップは実存主義者や文士、芸術家たちの溜まり場となっており、いまだにサルトルボーヴォワールを偲ぶ観光客がこれらの店にやってくるし、数回ドゥー=マゴに入った時も隅の方に当時の生き残りのやうな黒服の老人が黄昏れてゐたっけ。そういへばかなり前に東京のオーチャードホールに出掛けたときに、ブンカムラにカフェ・ドゥー=マゴの渋谷支店が出来てゐてびっくりしたことがある。渋谷の他にどこかに更なる支店が存在するのかどうかは不明であるが、驚くべき事だ。同様の展開で驚いたのは、ジャズのライブハウスとして有名なブルーノート(確かニューヨーク?)の支店が名古屋にあったことだ。そう言へばボストン美術館の支店も名古屋に有ったな。この調子で行くと、東印度会社の支店が神戸に有るかも知れないし、バルセロナはサグラダ=ファミリア教会の支店が長崎に有るのかもしれない。でも味噌煮込みの山本屋本店の倫敦支店やひつまぶしの蓬莱軒のブダ=ペスト支店は無さそうだな。
さておき、サン=ジェルマン=デ=プレ教会はロマネスク様式の美しい外観で、内外問はず後世の改築が複雑に為されており、建築学的にも極めて興味深いものだ。ちなみに個人的趣味的仏蘭西的耶蘇教会堂上位5は、

  1. サン=ジェルマン=デ=プレ教会
  2. シャルトルのノートル=ダム大聖堂
  3. パリのノートル=ダム大聖堂
  4. モン=サン=ミッシェル聖堂
  5. サン=ドゥニ大聖堂、

てう按配であるが、「だからどうした」と言はれると困るので、さういふことは訊かんでもよろしい。
今日は前線と台風の関係で終日曇ったり雨降ったり、南から湿った風が大いに入ってゐるやうで、蒸し暑さはかなりのもの。大きな紙を広げて仕事をしてゐるのだが、薄紙が湿度で丸まったり皺になったりと、管理が難儀だ。おまけに気圧と湿度の影響を受けて、製図ペンのインクが何かのは弾みで急にどばっと出たり滲んだり、なかなか思ふやうに進まない。困ったことだが、致し方無い。この先当分曇りや雨が続くとのことで大変困るが、致し方無い。しかたない。仕様が無い。しょうがない。没法子・・・この世の中、「しょうがない」が妙に多い(-_-)
ところでジャクリーヌ・デュ・プレの話は何処へ行った?