ムシムシコロコロムシゴコロ

ウマオイ(キリギリス)

案の定、お山で困ったちくちく虫、一夜明けてみれば方々が赤く腫れ上がって、強烈な痒みが発生してゐる。姿の見えないことを考えると恐らく地壁蝨(何と恐ろしげな字面!)であらう。ついでに足首はミニムカデに刺されたやうで、別の痛がゆさを感じる。とにかく小さな小さな虫の吐く毒の恐るべき強力さに驚くばかり。人間様はいくらいばって居ても、虫に噛みついたり虫が痒くなるやうなワザがかけられるわけでもないので、虫除けやかゆみ止めを塗るのがせいぜいだ。実は昨夜は遅くに飲み物を求めて、ゾンビの如く台所に彷徨ひ出たのだが、流しで最大級のムカデに遭遇した。全長15cm余りの超級で、あのやうなものに刺されたら3秒で死んでしまうに違ひない。それ以前に余りの恐ろしさに心臓麻痺発生寸前で、眠気もどこかに吹き飛び、直ちに総攻撃態勢に入った。ムカデは我輩の天敵なので、ありとあらゆる方法を用いて戦闘開始である。勝利は我がものであったてうことは、この日記が記されてゐる事実が雄弁に物語ってゐる。戦闘の状況は極秘事項なので、ここには書かない。
田舎家なので日常的に昆虫とは同居しており、今では巨大なイエグモなどは平気だ。見た目こそ身の毛もよだつ風体だけど、彼らは意外にも臆病で、人間様の一挙手一動作にも敏感に反応して逃げて行ってしまうほどだ。何を食べてゐるかと言へば、ハエやゴキブリなどを捕食してゐるのであって、寧ろ歓迎すべき同居人てうわけだ。蚊虫は蚊取り線香や蚊帳で防御できるが、シラミ・ノミ・ダニなどは厄介だ。一方夜中に光を目指して飛来する虫、カナブンやガなどは刺したり噛みついたりしないけど、庭の果物の害虫だったり鱗粉を振り播き人間を巨大化させたり、それなりに厄介だ。バッタの類は人畜無害、なはずだ。実際彼らも噛まないし刺さないし、姿もさほど恐ろしげでない。しかし真夜中に仕事をしてゐると、隣や部屋の片隅で妙な音がしたりするのだが、バッタが跳ねる音であることも多い。静かな音楽をBGMにしてゐる時などは、意外にどきっとするものだ。コオロギやスズムシも床下に生息してゐるらしく、美しい鳴き声を毎年聞くことができる(畳の下から!)。人間を喰わないし攻撃性も低いので、部屋への侵入も黙認してゐるのだ。
伝統的な日本家屋の開放性は風土や気候に即して評価すべきものだが、こと害虫との関わりてう一点に限定しても、所謂竪穴住居に居住してゐた古代人はどのやうな害虫対策をしてゐたのだらう。地面を掘りくぼめた床に、萱や藁などを敷いて生活してゐたのだらうから、地を這う害虫は続々と直接侵入して来るワケだ。いくら囲炉裏で毎日家が燻されてゐると言っても、薫蒸効果の及ぶのは主に茅葺きなどの屋根部分であらうから、床は油断出来ないワケだ。想像するダニ、恐ろしい・・・(-_-)
愛用の電脳にひょっこりやって来たバッタ君、きみらは進化の過程で毒虫に変化して行かないでね。