空想科学的宇宙世界

蜘蛛男が見ておりまする

リディック」について語ろうと思ふと、前作「ピッチブラック」から話を始めなければならないのだらうが、ダークヒーローの活躍するSF映画は極めてマイナーな存在であり、誰も読んでくれない可能性が95%にまで高まることは間違い無い。この数値は電脳世界に於ける窓式の占有率とほぼ同じであり、端っから我々林檎式の民族にとって太刀打ちできるものではない。別に誰一人読み人が訪問しなくとも、知らないうちに人類が滅びてゐても、粛々と日常や心理や意識を記述するてう行為は宇宙の塵に混ざって量子世界に彷徨ふだらうから、それでよいのだ。しかし別の意味では、この言葉の連なりは、偉人による人民の為の啓蒙と導きであるとも理解(誤解?)されており、森羅万象どんな話題であっても理性と品格を以て・・・(-_-)何か?
さておき、RIDICK然り、やはりビジュアル的にはゴシックであり古代であり、陰影に満ちて汚く荒涼としており、英雄とサーガを目指す傾向が顕著である。地球や人類の未来はやはり、かくも暗黒に満ちた世界であるのか? かくも執拗に暗い世界が描かれるてうことを冷静に受け入れるならば、人間の本質がダークマターによって構成されているのではないかと怪しんでしまうことしばしである。イタリア系のメリケン人であるヴィン・ディーゼルの汗臭さは「XXX」と変わらないが、ジュディ・デンチおばばを筆頭に、コルム・フィオーレ、タンディ・ニュートン、ライナス・ローチなどの陰影の濃い脇役達や稠密で重厚なな背景の効果で希釈され、なかなかよい位置に納まってゐる。世界観には置き換えることはできないものの、広大さを感じさせる情景や展開はふと「バトルフィールド・アース」を思ひ出したほどだ。ただ、デンチおばばの語りに頼りすぎた終わり方(如何にも続編が有るムニダ式)だけは気に入らなかったが、我が祖国においても平良とみおばあ(「ちゅらさん」のオババ)の朗読力に頼って話を続けたり展開したりする手法は人民に容認されているものだから、この際許そうではないか。
実はRIDICKの前菜として密かに「サンダーバード」を観ていたことをここに告白するわけだが、原作である人形劇を実に忠実に再現してゐて、しばしば驚くほどであった。とりわけ悪玉フッドをかの名優ベン・キングズレーが熱演してゐたことには激しく敬意を表するワケだが、倫敦はテムズ河畔、観覧車脇のジュビリー・パークに各機が集合する光景はイギリス人達を熱狂させたに違いない。これはひとえに監督であるジョナサン・フレイクスの心憎い配慮とオリジナルシリーズに対する敬意であり、方々に散りばめられた「ニヤリ」ショットと共に最後まで飽きさせない。さすがにSTARTREK-THE NEXT GENERATION-でジャン・リュック・ピカード艦長の右腕であるウイリアムライカー副艦長を務めた経歴の持ち主だけあるな。でも始まりのタイトルは全てイラスト動画で、アニメ映画のオープニングではないかと怪しむほどであり、これまた驚いた。物語の主人公は御子様であり、いい年こいた中年様にはちともの足りぬ内容であるが、そこはそこ、ここはここ、あそこはどこ、こそあどことば。オマージュであることを忘れずに、思い切り楽しむべき作品であらう。
真夏のSF繋がりてうことで、いっそのこと「スパイダーマン」も続けて観るべきであったかどうかは、神のみぞ知る。(-_-)