蚊取り風物

どっちが新デザイン?

我輩の邸宅に於ける蚊取り線香の消費量は、相当のものである。数量的には一般家庭の5倍に達するのではないかと思ふが、数へたわけではないので直感的なものだ。この際、細かいことは気にせんでもよろしい。実際、田舎のドラッグストアやホームセンターには、都会人の想像を絶するやうな巨大な缶入り蚊取り線香が売られており、さういふものを日常的に平気に使ってゐるので、普通サイズがミニミニサイズに見へてきて、今では効力さへも大きい方が優れているのではないかと思へるほどになってしまった。一般的にはキンチョーの独占と思はれがちな蚊取り市場だが、実はアース渦巻香が優勢なのだ。理由は極めて単純で価格の違いなのだが、ブリキ缶の大きさに比例して巻きも大きいのであり、6時間以上平気で持ちそうな長さである。缶のデザインはメーカーを問はずなぜか一様に古典的図柄であり、昭和初期どころか明治以前から変わっていないのではないかとさへ思わせる雰囲気がある。基本の地柄は除虫菊のやうだが、現在ではほぼ全ての製品がピレスロイドという化学合成物質を使用しているので、やはりあくまでも固定化した「雰囲気」重視といふことだ。しかし、ここ数年間でもデザインの変更が行われていたことを、我輩は知っているのだ。よく観察するとかなり大胆な変更であるが、レトロな雰囲気は極力残そうとする努力は伺われる。蚊取りブタにしてもさふだが、夏を彩るこの分野のものどもはどうしても古典的であるべしとなっているらしい。缶の裏側には但し書きのやうなものが書かれてあって、これまた神秘性を高めている。書いてある内容はたいしたことなく、使用上の注意や使用方法などである。かういふデザインはなぜか花火の注意書きを思ひ起こさせるが、これまた夏の風物である。
蚊虫は無限に湧いてきて、毎晩果敢に襲いかかって来る。このところの温暖化も影響して、我が家では少なくとも6月から蚊取り線香のお世話になっている。今年の記録では早くも5/16に使い始めてゐるので、すでにこの猛暑が予言されていたのかもしれないな。困ったことに、最後の蚊虫が息絶えるのは10月に入ってからではないだらうか。といふことは、年の半分は蚊取り線香を焚いているわけで、仏壇の線香を兼ねることが許されるなら、怠惰式な供養が可能になる。それよりか何よりか、そもそも家の中での蚊虫の発生を阻止せねばなるまいぞなるまいぞ。。。(-_-)