溶解する秩序

アップルトマト?

こう暑いと、何がどうなってもよいように思えてくるから不思議だ。亜熱帯の気候は人間を怠惰にさせる。たいていの日本人が、東南アジアが心地よく感じる原因は、厳密な時間の感覚を意識させない気候風土によるところが大きいのではないだらうか。昼のNHKニュースを見ていたら、気温が40度になりつつある東京都内の街頭インタビューで、中年の女性が汗かきながら「もうね、こう暑いと頭がね、あ、あたまがおかしくなってきちゃうのよね、おかしくねっ、、、」などと真顔で答えていたが、すでに瞳孔が開いてしまったやうな虚ろな表情で、今にも「うひょひょひょひょ・・・」と笑い出しそうで恐ろしかった。インタビューのあと、あの女性はどうしたのだらうか?
日本がまがいなりに目に見えない秩序で作動してきた理由は、比較的明瞭な四季のせいではないだらうかしらむ。四季はお互いに補完し会って、それぞれの特徴を際だたせ、人間にさまざまな覚醒を促す。そういうことを考えると、地球温暖化の影響はすでに作用を開始していて、例えば日本の平均気温がこの百年ですでに数度上がりつつあるそうだけど、四季の境界が曖昧化して特定の方向に歪み、冬に生まれた秩序と知恵が無用のものとして葬り去られようとしているのかもしれない。氷河期は人類の精神文明の進化を促したという過去の事実が、ことの重大性を物語っている。これは由々しきことであるな。未来百年以内には日本が亜熱帯域の気候に遷移し、マラリアをはじめとしたさまざまな病痢疫痢が蔓延してくるに違いない。人々は労働意欲を消失させ、寒冷期に構築された秩序は罪悪と見なされ、勤勉は罪悪の代表となり、労働者への粛正が開始する・・・(-_-)
何故に頭に描く未来がかくも暗いものなのかはよくわからないが、数あるSF作品を見てもそのような傾向は強いと言わざるを得ない。極端な未来はむしろ古代の姿に近い様相で語られることが多いし、近接未来はアジア的混沌の支配する風景か独裁者の支配する状況である場合が多い。とにかく、自然の大きなシフトはすでに開始されていて、大雨やら大嵐やら大竜巻やら巨大台風やら大津波やら海面上昇やら気温上昇やらオゾン層の崩壊やら何やらかんやら、気付いた時がすでに遅かったということは間違いがなかろう。
そんな自然秩序崩壊の一端だらうか、今朝庭で収穫したトマトがどうしてもリンゴに見えるのですが、これも暑さのせいでせうか?(-_-)