YEN TOWNならぬYEN ZONE

偉大な同志は永遠に若いのだ

偉大な将軍様のおられる国の紙幣を入手。1+5+10+100=116ウォンということは、いくらくらいの価値になるのだらうか?
1ウォンの図柄は花籠とチマチョゴリ姿の女性で、裏面は笛吹飛天漂う岩山の風景。1992年という発行年が記されている。5ウォンは金日成の本を抱えた労働者?と人民たち、裏面は本場中国をも凌ぐスケールの巨大宮殿。10ウォンは機械を操作する労働者で、裏面は巨大なダム湖?の風景。この両者にはチュチェ(主体)87年=1998という発行年が記されている。100ウォンは泣く子も微笑み律動体操をしてしまうという、前の大将軍金日成同志の若き肖像と、裏面は白頭山の生家と思われる家屋。こちらには1992という数字しか記されていないので、主体式紀年が始まったのは90年代後半のことなのだろうか? とにかくよくわからない国のことなので結局詳細は不明なわけだが、一見無意味に見える紙幣の意匠には、きっとさまざまな意味が込められているに違いない。
かつて中国には外貨券と人民元の2種類の通貨が流通していて、我々外国人は当然外貨券の使用を義務づけられていたのだ。しかしそのような二重通貨精度の陰にはしっかりと黒市=ブラックマーケットが存在していて、場合によっては外貨100元が人民150元以上のレートで交換可能であった。その頃はおかしな事に、外貨でしか買えない電化製品を売っている友誼商店があったり、外貨券を受け付けない街の商店などがいくらでもあったので、我々旅行者と黒市人民の利害はかなり一致していたのだ。もちろん路上での闇交換にリスクは付き物で、150元で交渉成立し目の前で100元札15枚数えて受け取ったはずなのに、宿で確かめてみると12枚しか無かったなんていう話は日常茶飯事だった。その誤魔化しが一番巧みだったのがウイグル人で、西域方面で闇両替をしたことのある人で所謂ウイグルマジックに引っかからなかった人はいないほどだった。
そんな中国はとっくの昔に姿を消してしまい、いまや自由主義諸国のお株を奪うほどの激しい経済状況を呈している。両替し損ねて手元に残った外貨券は160元ほどあるが、今や経済発展史の資料的意味において保存する価値を高めつつある。
そういえば韓国・朝鮮のウォンも中国・台湾の元(ユァン)も日本の円も、漢字的には同じ意味だ。ドルやユーロに対抗してYEN経済圏が形成できれば、それはそれは強大なものになるだろうな。