黄土の誘惑

これも大黄河

9月の話だけど、中国陜西省中部への取材旅行にお誘いを受けたものの、今年は予算の関係で断念せざるを得ない状況だ。もちろん、言うまでもなく行きたいのはやまやまだけど、今年後半の経済的に厳しい状況がすでに現時点で約束されているので、しかたないのだ。宇宙の公式通り、金が無い分時間だけはたっぷりあるのだけどね・・・(T_T)
陜西省の起点は省都である西安だ。過去に2度訪問しているが、最後の訪問からすでに9年経っている。上海発の火車(列車)は鄭州あたりから大黄河に並行するように西に向かうが、距離にして1500kmもあり、特快でも車中1泊2日の長距離だ。大黄河は三門峡を過ぎて華山の手前で大屈曲して北行するので、潼関以西は渭河という支流沿いということになる。長安・咸陽・宝鶏・天水・漢中と聞けば三国志の世界だが、洛河に沿って北上すれば革命の聖地延安に辿り着く。このあたりは荒涼とした黄土の大地が延々と続く地域だ。
長江中流にはじきに超級巨大な「三峡ダム」が出来上がり、重慶まで巨大な船舶が遡上可能になるわけだが、すでにダム湖に堆積するであろう膨大な土砂の影響が心配されている。幸い長江の水量は豊富に保たれているが、黄河の水不足は深刻だ。先年訪れた内蒙古包頭あたりの黄河の流れは大変心細いものであったし、甘粛省都蘭州のあたりでは川底さえ見えていて、驚いたものだ。黄土高原の保水力の低下と同時に、無節操な取水が重なってこの現象が起こっているようだ。では長江のように中流、三門峡あたりに巨大ダムを建設して湛水すれば蘭州まで巨大船が遡上できるかというと、そうではないのだ。その理由が「黄河壺口瀑布」と呼ばれる滝の存在だ。そこは文字通り壺の口の如く川幅が狭まったところで、岩塊を穿った流れはもの凄い激流であり、船などは近づくことすら出来ないのだ。
それにしてもこういうことはどうでもよいといえばどうでもよいことなのだが、こういうことを知っていることが重要なことのような気もしてくるが、それは頭の中の月のせいかもしれないし、気のせいかもしれない。ひょっとして年のせいだとすれば、それはそれで別問題だな。(-_-)