香港有情

夜景大王!

香港返還から早くも7年が経過した。中国側の表現を用いれば、「主権回復」ということになる。阿片戦争当時の租界協定において、この先99年間の租借を締結したことが事の始まりのワケだが、当事者は勿論誰もその期限終結を見届けることなど念頭に置いていなかったワケで、99と言う数字は永遠を意味していたのだ。ところがそういうことをしっかり覚えているのが中国の中国たる所以であって、当の英国側もさぞかし驚いたことだろう。
7年前の前夜祭の熱狂は、いまだに悪夢を伴って記憶の中に沈殿している。式典の少なくとも一週間前の香港入りを予定していた僕は、6月上旬に船でまず上海に向かい、陸路広州まで南下。行く先々のすべての城市での余りの過熱ぶりに、多少ならずとも恐れを抱いたものだ。広東語を共有する同郷広州の熱狂は凄まじく、期を合わせて製作された映画「阿片戦争」上映中の映画館は超満員。ここぞとばかりに、これでもか、これでもかと愛国心を煽る大仰な演出は一見に値したが、主権回復は政治的な行為そのものだからいたしかたありますまい。東夷である僕でさえ、林則徐に大いに共感を抱いたほどだ。
とにかく這々の体で予定通り香港に入り、連日連夜の熱狂に身を委ね、歴史的転換を無事?体験することができたわけだが、その後ベトナムカンボジア方面で数ヶ月を過ごし、香港を経ずに広州から再び陸路・海路で帰国して以来、訪れていない。香港人の友人も多いが、返還後は皆それぞれ生活環境や家庭環境も変化し、それぞれの道を歩んでいる。久しぶりに彼らを訪ねてみたくなった。