水中天

見るも涼しげな光景

昼前、十分味の染み込んだ茶蛋を、寝ぼけ眼で口に放り込んでもぐもぐもごもごとしながらふらふらと庭に出てみると、ホテイアオイの涼しげな花が咲いていた。
雨水受けの水槽なのだが、ボウフラ対策にメダカを飼いながら、数種類の水草を放り込んで早くも5年が経とうとしている。不思議なことにホームセンターで買ってきたのはアカメダカなのだが、数年前によくよく見るとクロメダカも泳いでいる。始めから混ざっていた可能性はゼロなので、遺伝子的突然変異なのか自然発生なのか誰かの仕業なのかは不明だが、とにかく居る。これまた不思議なことは、毎年自然に発生するというか越冬するというか、初夏になると姿を現し、ミクロ級に小さいのも居るので卵も産み付けられているのだ。大発生して水槽一杯になることは決して無く、昨年は大きな水槽からはすがたを消してしまった。その理由はヤゴがエサにしていたからで、脇の小さな蹲いに移してやった小集団によって、遺伝子は受け継がれ、この夏の姿に到ったのだ。
小さな水槽が彼らの宇宙であり、世界そのものである。そんな中にも栄枯盛衰、生命循環、一陽来復、四季平安が有るのだね。この地球だって、誰かが覗き込んで目を凝らさなければ見えないくらい小さな世界なのかもしれない。