蕎麦と茶蛋

並盛り1枚!

昨日に引き続き仕事関係の来客で、ホスト役の友人らと昼食のご相伴にあやかる。
成り行きと偶然で結局両日とも同じ麺屋だったのだが、これまた蒸し暑さとその場の雰囲気でざる蕎麦をいただいた。手打ちで細切りのその蕎麦はたいへん美味しく、喉越しもさわやか。香ばしい千切りの焼き海苔と薬味である刻みネギ、わさびそして大根下ろしを少し効かせると更に美味しさが増して、普段昼食を食べない僕でも食が進む。
1枚で十分の盛りなのだけど、ぺろりと平らげたあとはもちろん蕎麦湯をいただくわけで、お出しと茹で汁の少しとろみを帯びた舌触りがたいへん宜しい。聞けばこの茹で汁には有用な栄養成分がふんだんに含まれており、たいそうカラダにも良いということだ。友人はどうも蕎麦湯をいただく習慣が無いようであったが、これとて伝統的な食の知恵なのだろうな。
帰宅後この美味しい蕎麦に触発されて?、突如茶玉子(茶蛋)を作ってみた。中国独特の味付け玉子なのだが、先日横浜中華街で仕入れてきた良質の烏龍茶が手元にあったことや、各種スパイスが揃っていたことも幸いだった。濃いめに煮出した烏龍茶に八角など4種類のスパイスを投入し、砂糖(今日は黒糖)などで味を調整する。この薬風呂のような液体に、あらかじめ軽く茹でておいたゆで卵を投入して煮込むわけだが、ある程度玉子が硬くなった頃を見計らって取りだし、まな板の上で転がしたりして殻に満遍なくひびを入れ、再び鍋に戻す。あとはこのひびから玉子本体に風味が十分染み込み、殻全体が所謂茶色に染め上がるまでことこと煮るわけだ。出来たての暑い茶蛋も美味しいけど、一晩置いて十分味の染み込んだものもまた格別だ。
上海の路上に夕方になると出現する「玉子オババ」は、小さな手押し車に七輪を積み込み、大鍋にいっぱいの茶蛋を売っていたことを思い出す。オババはいつも大匙を手にして玉子をぺちぺちと巧みに敲いて表面に細かなひびを満遍なく入れたり、煮汁を水面上の玉子にかけたりしていた。小腹のすいた時間を見計らって出現するので、ついつい買ってしまうのだ。日本でも受けそうな味なので、この夏どこかで売ってみるべか。