蚊帳だの蠅帳だの・・・

薄緑色の繭玉!

蚊帳を吊って寝ているが、今では珍しいことになりつつあるのだろう。
ご幼少の砌、最後に蚊帳を使っていたという記憶は小学校4年で途絶えていたし、アルバムを見ても中学生以後の写真には写されていない。その理由は、網戸の導入によるものが大きいと思うのだが、いつしか蚊取り線香もベープ・マットという電気過熱蒸散式のものに取って代わって行ったのだ。いろいろな電化製品が一斉に普及し始めた時期でもあり、日常生活の風景が一変した時代だったのだね。
そんなとっても昭和的な生活様式に戻った、というか戻らざるを得なかったのがこの田舎での居住環境によるものなのだけど、今ではとりわけ不便は感じない。蚊帳などは中国や東南アジアを旅行したときにはごく普通にベッドの上に装備されていたし、一時は携帯用のものを持ち歩いていた。中に潜り込んでしまえば薄緑色の内部は幻想的な空間で、繭玉にくるまれたような安心感がある。今使っている蚊帳は素材こそ麻ではなく、サランという合成繊維だけど、何とも幻想的で風情のある風景を生み出す。何より蚊取り線香の心配をしなくてもいいし、安心して眠ることが出来るしね。食品や調味料を一時的に置いておく「蠅帳」を知っている人は更に少ないかな。ちゃぶ台に置いたままの食品に傘のように開いて被せるオシャレなレース?(何と呼ぶのか知らん)もなかなか便利。
一見不便そうに見えて、実は現代の生活に役立つものもかなり有るのだ。