台風と人間とサボテンの花

無数に咲いておりました

暴風雨。でも幸いなことに雨の量は予想の半分以下だった。夕方前に雨は止んでしまったので、海岸に出てみた。当然の事ながら凄まじい荒れようで、けぶる水平線の彼方から無限に押し寄せるうねりが次々に砕けて、雨よりも激しい飛沫となって車に打ち付ける。
タイミングを見計らって車外に出て、荒れ狂う海岸線を撮影。ゆっくり歩くも、余りの強風で足が時折掬われて、転倒しそうになる。カメラは塩水にやられるのでほんの一瞬しか構えていられないし、現実的に感じているこの状況は、例えば電線を切る風の音や波飛沫や潮騒を越えた轟音などが渾然一体となって体感されたものなので、とうていカメラにおさめることなどできない。帰宅して電脳に取り込んだその画像たちは、案の定極めて部分的で、状況のごく表面、それも日焼け後に真っ先に剥がれ落ちてしまう薄皮のような出来でしかなかった。予想の範疇ではあるが・・・
でもこの荒れ狂う海に対して、人間なんてとうてい無力だ。石を投げつけようとも、どんなに高くテトラポットを積み上げようとも、波の力は絶大であり、人間はせいぜいとも綱を切って船を波に委ねるしか脳が無いと思えるほど。でも、こんなにも激しい海岸線で、超然と咲くサボテンの花を発見。長い棘は嵐さえ切り裂く。