或る平凡な一日

乾杯!

大陸の乾いた空気がやってきて、秋の如くさやけき青空。集中しなければならないドメスティックワークが終わったのは、夜明け後のことだった。一晩中かなり涼しい風が吹き続けて、おかげで蚊虫はどこかに飛んでいってしまったようだった。自動的に蚊帳吊りは明日に延期となった。
それなりにおなかは減っているので、何か少し食べてから眠ろうか、それとも我慢して何も食べずに眠ってしまおうか迷う。82%くらい食欲の誘惑に勝って、小さなシリアルバー1本を食べてから寝たのだが、起きたのは昼前だった。約4時間半の睡眠。
改めていつものやうにブランチ摂ってから屋外作業にでかける。山の作業場はさらに涼しくて、いつになくたくさんの鳥の声と木洩れ日が降り注いで気持ちよい。かなり大汗かいたけど、さらりとした風が不快さを運び去ってくれる。ハイキングの人々が2組、山の稜線を目指して登って行った。今日の澄んだ空気なら、太平洋も湾岸も一望できて素晴らしいだろうな・・・ 一瞬、作業を中断して僕も稜線を目指そうかとも思ったが、キリをつけたかったので一人で作業を続けた。
静かな夜を迎え、用意しておいたバッハのゴールドベルク変奏曲を聴きながら、部屋の片付けを行う。チェンバロの繊細な音色が空気に溶けて、皮膚に伝わってくる。そんな空間を裂くように、電話のベルが鳴った。友人夫妻に女児誕生のお知らせだ。
おめでとう、おめでとう。新たな生命の誕生を言祝ぎ、音楽をメシアンの「トゥーランガリラ交響曲」に替えた。