モンパルナスの夢

アポロンの夢の跡

デルフィに行きたいな、と思った。
予言の神アポロンの聖地、パルナソス山腹にあってコリントス湾を臨む神話の地。
そこには「世界の臍」と呼ばれる聖石オムパロスがあって、アポロン神殿で下される神託を聞くために、地中海一円から無数の巡礼者が押し寄せ殷賑を極めていた。
マケドニアの王フィリッポス2世も、その子アレクサンドロス大王も訪れたこの聖地には、ピュティアと称する巫女集団が居り、政治や戦争から恋愛に至るまであらゆる種類の神託を授けていたのだ。
言い伝えによると彼女たちは帳で仕切られた神託室で、青銅で造られた三脚の台に上り、床の割れ目から立ち上ると信じられていた霊気を受けて神がかったという。実際石灰岩のパルナソス山には方々に洞窟が存在し、それらのいくつかは聖なる霊気を孕む所として人々の信仰を集めていたという。
大地の奥底から立ち上る霊気・・・
神は天空より振り下ろされる場合も有れば、大地から湧き上がり出現する場合もある。デルフィにでかけて、さて、僕はどんな神託を授かろうかな。