想像力の地平線

石の中にも宇宙があるよ

スター・トレックを見始めたのは中学生の頃だったろうか。テレビ番組で、「宇宙大作戦」という、今から思えば時代を反映した大仰な名前で放送されていたのだ。
当然のことだけど、今から見れば幼稚なセットや合成画面であったものの、物語の展開は時に難解で、哲学的かつ観念的なものが含まれていたことも確かだ。ミスタースポックやドクターマッコイをはじめとしたキャラクターも大きな魅力で、宇宙という設定にもかかわらず地球上の日常以上に人間くさく、時に滑稽だった。
このオリジナルシリーズを皮切りに、その後の物語は年代記の如く展開していった。個人的には「ヴォイジャー」のシリーズが一番好きなのだが、「ヴォイジャー」や「ディープスペースナイン」のシリーズ以後、いろいろな意味で行き詰まりがあったのかもしれない。現在放映中のシリーズ名は「エンタープライズ」。
つまり時系列ではオリジナルシリーズ以前の物語りという設定で、宇宙船内部も意識的に簡素な造作になっていたりする。
SFに関しては小説も映画もかなり積極的に接しているが、思うに作家達が現在という時間軸の延長線上に思い描いたほど、現実の社会は未来化していない。もちろん人間の想像力が人々の無意識下にまで浸透し、集合的無意識として未来を導いていくと言う可能性も否定はしないが、思うように未来化しない現実社会が、時折もどかしくも感じる。
もちろん宇宙から地球や太陽系を眺めてみたいし、未知との遭遇もしてみたい。ワープ航法で時空を越えてみたいし、真空中で異星人とも戦ってみたい・・・
今はせめて、ハッブル望遠鏡のサイトで公開されたさまざまな天体の幻想的な画像を見たり、夜空に望遠鏡を向けたりするのがせめてもの慰めだ。
さて、今夜の月はどんな顔してるのかな。