かくなる上は・・・

この人を見た?

アニメ映画はよほどのことがない限り観ない。よほどのこととは、「ジブリの作品が発表された時」という場合が多かったわけだが、先日見た「イノセンス」の場合は何か混沌として難解で理不尽で不可解なものが立ちこめていたが、部分部分に発現する、何か覗いてはいけない、言及してはいけないたぐいの混沌の深みを俯瞰するような心持ちを感じたものだ。
昨日見た「GOD DIVA」の場合は過激なまでに誇大な宣伝文句と、一見神秘的な予告編に騙されて見に行ったわけだが、まさかあそこまでCGアニメ合成作品だとは知らなかった。
BLADE RUNNER」の場合はアナログ的なミニチュアやジオラマと合成技術が駆使されていて、汚染された大気や中華街的な雑踏の臭いまで感じさせるような雰囲気まで表現していたし、「FIFTH ELEMENT」の場合は無臭ながらも奇抜で、役者の人格とデザインの妙、更には音楽の力も借りて最後までクラインの壺空間を浮遊する快楽を与えてくれた。
では「ゴッド・ディーバ」の場合はどうだ? 原作は中途半端に読みかけたまま放擲してしまったので詳細は記憶にないが、古代エジプトの神々を無闇に持ち出す手法には共感できず、浮遊するピラミッドも「未来惑星ザルドス」の猿顔浮遊岩石体ほど魅力的ではなかった。
そんな失望を何か別の物質で埋めようとしたわけでは決して無いが、続いて観た「パッション」の狭小な世界観は陰鬱で、生々しさの表現のその果てには一体何が発現するのであろうか、ということをついつい考えてしまうほどであった。
結論は、「ゴッド・ディーバ」と「パッション」は近年稀に見る食い合わせの典型例である、というトリビア的些細な事象であった。
これとてまた、人生の或る1日のできごと・・・