ベルリンの天使

発光的球体

ベルリンが統一ドイツの首都に復活してから、もう何年になるのだろうか。
たまにテレビニュースの背景に写る、ライヒスタークこと旧帝国議会議事堂の奇抜な改築後の偉容は、どうしても実際に見てみたいな。
ベルリンに潜伏していたのは1988年7月の約1ヶ月間、もちろん市内は壁で分断されていたころの話。Reichstagこと、Deutscher Bundestagは現在ではドイツ連邦議会議事堂というのが正式名称だ。
もとは1894年竣工の重厚な建築物だが、かつては正面高くに掲げられたナチスのカギ十字が爆破されるシーンを見た人もいるかも知れない。ソ連の爆撃で廃墟と化し、東西ドイツの統一が果たされたのち、現在みられるような姿に改築されたのだ。
基本的にファサードは旧情のままだが、屋上に築かれたガラスのキューポラは直径40m。巴里はルーヴル改築の象徴がガラスのピラミッドであったことと対照的だ。
僕の居た夏はまさにベルリンのコンサートシーズン。クラシックは言うまでもなく、ありとあらゆる大物アーティストが訪れる季節だったのだ。実際わずか1ヶ月の間にこのReichstag前広場は、超巨大な移動遊園地→マイケルジャクソンのコンサート会場→ピンクフロイドのコンサート会場へとめまぐるしく変貌していった。
僕は都合で森の劇場ことヴァルドヴューネで行われたSTINGのコンサートしか行けなかったけど、ライヒスタークのすぐ背後は壁で、いくつかのスピーカーは意図的に東ベルリンに向けられていたことが、大変印象的だった。
「ベルリン天使の詩」にも登場した旧ポツダム広場付近の壁の曲がり角や、正に歴史の舞台になったブランデンブルグ門。後に上海に出現する奇怪な塔「東方明珠」の元祖のようなデザインだったアレクサンダー広場の”目玉の串刺し”塔。
荷物やパスポートなど全てを盗られて逃げ帰ってきた時に、手荷物の無さをかえって怪しまれて取り調べを受けたフリードリッヒ・シュトラーセ駅・・・
此処もまた、自分の遺跡探しに行かなければならない場所のうちの一つだ。