2004-04-27 フェルメールの光 光有るところに影が生まれ、影の中にもまた光はひそむ。 フェルメールの静謐な世界。何気ない女性の仕草と表情が、内面や時間まで感得させるほど、雄弁に語りかけてくる。 ラピスラズリの青はイスラムのモスクの装飾タイルを連想させる。イスタンブールはブルーモスクの巨大な内部空間に漂っていた、透明な青い気体のような気配。 華やかなミフラーブの窪みに潜む、歴史の堆積と精神の秘密。 デルフト焼きの青い絵の具と食器のぶつかり合う音、運河を行き交う荷船と、通りから聞こえてくる喧噪。囁き声や怒鳴り声、そして心臓の鼓動・・・ フェルメールの謎は、永遠に群青の絵の具に塗り込められているのだ。