2008-01-30から1日間の記事一覧
既に生ひ立ちや幼少時の激しい動きが象徴してゐるやうに、生まれながらのエグザイルであり、逃避者であり、故郷喪失者であったのだ。絶望したはずのタヒチに戻らざるを得なかったその行き詰まるやうな精神的状態は、察するに余りある。南洋の楽園に於ける貧…
此処で唐突に、「西洋文明に絶望」したとあるが、彼にとっての西洋文明とはどんなものだったのだらう? 植民地としてのタヒチの様子は、恐らくかなり其の原始的で素朴な生活様式が強調されて本国に伝へられてゐただらうし、何よりも剥き出しになった放射性物…
此の頃の画家達の紐帯はどの程度形成されてゐたのか、我輩は知らん。ポン=タヴェンでのたった数年間に、画家達の独自の情報網から、アルルに滞在中のゴッホのことを知ったのだらう。
元服の頃には既に航海士であったし、海軍に属して戦争にも参加したと思へば、証券会社の社員となり北欧女と結婚。この時点でやうやう、人生の初の心の寄港地を見つけたのだらうか。
ものごころつくもつかぬも、赤ん坊の時からペルーに連れて行かれてゐたわけで、父親の顔も知らぬままにフランスへの帰国。安定した精神的基礎の構築される環境にはなかっと言はざるをえない。
常々、ポール・ゴーギャンの作品に得体の知れぬ不気味さや、ただならぬ原始的な蠢きを感じてゐたのだが、今回オルセーで撮影してきた何枚かの画像(油絵よりも木彫が多かった)を眺めるうちに、人間の本能の領域に抵触するさまざまな問題を見出すに至った。 …