卯月満月雨後明瞭


車輪梅(花木斛)*1の開花。甘い甘い香りを周囲に漂はせ、様々な昆虫を吸引する。それこそ雲霞から雀蜂までがしきりに飛来する。
 

鬼百合の生長開始。1日数センチほどの勢ひで伸びてゐる。
 

 
 

玄関頭上を取り巻く蔦の緑は美しいものだが、これまた無数の毛虫を内包するので厄介でもある。
 

船形山より将来された巨大松ぼっくりを配置してみた。
 

切なきは 岬を染めし 黄昏の 紅燃ゆる 靡け我が霊
 

 
 
虫てうものは湧くものである。
虫が飛んで来たり歩んで来たり、「まあ美しい」だの「まあ綺麗」だの、「まあイヤだ」とか「まあ気持ち悪いわ」とか、兎に角そんなヤワなものではない。
虫とは其処此処で湧くものであり、人間様の存在を直接的にも精神的にも萎えさせる存在なのだ。其の発生の様子は原始的且つ神秘的で、大抵の場合生理的に受容出来ない光景であることが多い。簡単に言へば、蜘蛛の子の蝟集する様子だの蟷螂や蛆虫の群集だのを想像してみるがよい。それはそれはなかなか面妖でおぞましいものであらう。勿論、柿の木に湧くヲコゼムシやケダマムシの類、浅い海に湧くタコダラブッヘや岩場に群集するフナムシも恐ろしいが。
てうことで、先日来台所ではコクゾウムシが大発生しており、なかなかその発生源に行き当たらない。コクゾウムシと言ふ以上、覇拿里荘の貯蔵米から湧いてゐるのだらうと思って樹脂製の容器を覗いても、普段食してゐる玄米から発生してゐる様子は無い。これらの他に別容器に赤米と糯米が少量保存してあるのだが、そちらの方も大丈夫のやうだ。それでは此の無数のコクゾウムシ(黒くて硬くて数ミリの大きさがあって、比較的動きが鈍いので発見しやすいのだ)は何処で湧いてゐるのか。ここ数日の頭痛の種である。
此の他にも、先日数カ所で湧いて出たシロアリ(羽根アリ)や、数年前矢張り台所の煮干しに大発生したニセセマルヒョウホンムシや、堆く積まれた書籍の山で湧いて居たシミ(紙魚)などが、我が陋屋で湧く代表的な虫であるが、いずれもなかなか駆除が難しい厄介な存在だ。
てうことで、今日もまたコクゾウムシの発生源を探ることにする。
 

こちらは庭の蹲に湧いたハナアブの幼虫。まんだまんだわんさか、それこそ無数のこのやうな軟体動物が水中に群れて蠢いて居るのだが、其の様子は余りにも不気味なのでごく一部を掬ひ取って撮影してみた。
此の「水中蛆虫」の存在を確認したのが偉人の御幼少の頃、さうだな、多分小学校高学年の頃だったかしらむ。矢張り庭の片隅に放置された容器に湧いて蠢いてゐた様子を見て、勝手に名付けたものだが、アメーバの突然変異か新種の水中生物と思ってゐた記憶がある。
 

 
生態
その名の通り、成虫は花に飛来して蜜や花粉を食べるものが多いが、そうでないものもある。虫媒花の送粉者としても重要で、特にキク科の植物には主にハナアブ科に依存したハエ媒花の花を咲かせるものが多い。
幼虫は有機物の多い水中でデトリタスを食べるもの、朽木内で育つもの、捕食性、植食性、きのこ食性など多様な生態に適応放散しており、それに合わせてその形態も著しく多様である。
ナミハナアブ亜科のうち、ナミハナアブ族 Eristalini の幼虫は水中生活で、円筒形の本体から尾部が長く伸張して先端に後部気門が開き、これを伸縮させてシュノーケルのように用いて呼吸する生態からオナガウジ(尾長蛆)の名で知られている。この仲間は生活廃水の流れ込む溝のような有機物の多いよどんだ水中で生活するものがよく知られているが、ほかにも木の洞(樹洞)に溜まった水の中でゆっくりと成長する種もある。
先述のようにヒラタアブ亜科には植物の茎葉の上で活発に移動してアブラムシを捕食するものが多く、やや扁平なウジ型をしている。なかにはフタスジヒラタアブのように、蝶や蛾の幼虫など比較的大きな昆虫を捕食していることが報告されているものもある。(以下略)
 

 
ところで矢張り毎年見かける吸血虻も、庭の何処かでこのやうに人知れず湧いてゐるのかしらむ。いずれにせよ、湧く虫はどれも恐ろしいものだ。
 
 
 

海~ドビュッシー:管弦楽曲集

海~ドビュッシー:管弦楽曲集

 

*1:樹皮を煮出して大島紬の染料として用ふ