夜に遊ぶ

それはそれは静かな静かな宵の口
電車はいつものやうにがたことがたこと走って行くけれど
いつものやうに
ぎっしりと詰め込まれた人影も無く
駅のホームも人影はまばらで
吹き渡る木枯らしを遮るものも無し
皆さんお家が恋しいか
皆さん何処で夢の中
 

 
 

 
 

 
 
てうことで久々の映画は『ロビンフッド』へ。
中世吟遊詩人に因って膾炙された伝説の人物。アウトローであり無頼の勇者がどのやうに描かれてゐるのか。
リドリー・スコットラッセル・クロウの組み合はせは『グラディエーター』以来かしらむ。其処にケイト・ブランシェットが加はり、所謂英国+遠隔英国領の中心を更に英米や其の他が取り囲む重圏構造。ウィリアム・ハートが一瞬リーアム・ニーソンに見えて仕舞ったのも、此の英国的雰囲気の為せる技だらうが、悪名高きジョン王にグアテマラ出身の無名な若い俳優を配し、其の無能さを無理なく醸し出してゐたのは流石巨匠の小技だね。
同名の映画としてはケビン・コスナークリスチャン・スレーターなどが出演してゐたものも見たことがあるが(1991年の作品)、あちらはとってもアメリカンな娯楽作品で、今回のやうな重厚さは微塵も無かったな。メリケン人向けとしては、あれはあれでいいのだらうね。
とまれ、草創期の倫敦塔の俯瞰シーンやノッティンガムなど諸侯の支配する地方荘園の様子などは、実写とCGを巧みに組み合はせて象徴的に再現されてゐたが、チョークの断崖が続く英国南岸の入江に押し寄せる仏蘭西船団との戦闘シーンも、決して派手ではないがよかったと思ふ。ただし、射手が整列して一斉に弓を発射するシーンのCGだけは、『始皇帝暗殺』などの現代中国映画の悪い影響が表れてゐるのではないかと思った。
 

ROBIN HOOD

ROBIN HOOD

ロビン・フッドの冒険―少年少女世界名作の森〈17〉

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