サンチマンタリストの憂鬱
此の週末は招待所を抜け出し覇拿里荘に帰還する大予定ではあったが、諸事重複し実にタイミングの悪く、やむごとなき事情に因りお流れとなった。
かといって、今更大名古屋辺りに繰り出してどーのこーのする気も資金も無かったので、諦めて招待所に持ち込んだ諸々の資料を渉猟し直したり、あっちの方面のあれやこれやを書き込んでみたりと、我乍ら感心するほどなんやかんやと野暮用は際限無く湧出するもので、いつのまにか日曜も日暮れて猶道半ばなりけり。
おかしいな、もっと怠惰に生きる人生にするはずだったんだけどな。。。などと今更・・・
それにしてもバッハのシャコンヌ。いったいぜんたいなんてう曲だ。
其の深遠さ、其の難解さ、其の長大さ、其の偉大さに於いて頂点であることは間違ひない。
正確には、「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ第2番ニ短調BWV1004」の第5曲(終曲)てう名前になるやうだが、今や「ボレロ」と言へばラベルのそれを指すが如く、「シャコンヌ」と言へばバッハのコレてうことになって仕舞ってゐる。
此のシャコンヌに関しては、我がiTunesには都合6種類の演奏が納められてゐるのだが、うち1つはブゾーニに因るピアノ編曲版(タチアナ・ニコライエワとファジル・サイの2種有るが、YouTube にはファジル・サイのプラハに於けるライブ演奏や、ブゾーニ自らが弾いてゐる音源も有った)、まう1つはストコフスキーに因るオーケストラ編曲版、残る1つはクリストフ・ポッペン(vn)とヒリアードアンサンブル(cho)の合体した異端の演奏。そして純粋ヴァイオリンのものはジャニーヌ・ヤンセン(美女!)演奏と、大御所メニューインのもの。
どれも個性的な解釈がなされたものだが、いくら編曲しても決して形を崩さない金剛不壊の芯であるバッハの存在そのものが、どのバージョンを聴いても脳裏に浮かび上がってくるから恐るべきことだ。
結局この2日間のヘヴィーローテーションで再生された回数は30回以上。招待所には楽譜類を持ち込んでいない為に、細部にと音の間隙に宿った神の表情を直接確認することは出来なかったが、覇拿里荘には楽譜が保存されてゐるので、帰宅したら直ちに繙くことにしやう。
おや、また雨か・・・
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J.S. バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ BWV1001, 1002, 1004 (メニューイン)(1934 - 1935)
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