覇拿里荘的受難和奇怪的雨戸之謎


 

 

 

 

 
普段から廃屋のやうだと誉れの高いパナリ荘ではあるが、今回の台風「18」号の襲来、さすがに崩壊は免れたものの老朽化著しい屋根の被害が最も大きく、何カ所も瓦が吹き飛ばされてゐた。
母屋も長屋も築百年近く、過去の地震や台風による歪みは建具の限界を越え、白蟻の侵蝕とともに今や文字通りの陋屋は風前の灯火。
しかし、時と場合によっては初めから歪んでゐるものの方が丈夫いこともあるやうで、倒れさうで倒れずに現在に至れり。
それにしても今回の謎は、北側の廊下に4枚残ってゐたはずの雨戸1枚(普段は動かしたくてもびくともしなかったもの)と、障子を利用して作った網戸1枚が何処かに吹き飛んで行って仕舞ったらしく、庭の何処を探しても見当たらない。
5年ほど前にも、冬の気違ひ風で雨戸1枚が吹き飛んでいってどっかに行って仕舞ったのだが、それも現在に至るまで行方が知れない。
家を取り囲む屋敷林の林間にも見えず、隣近所に舞ひ落ちた形跡も無い。いったい何処に飛んで行って仕舞ったのか?
確かに、謎は多い方が人生が楽しいが、かういふ謎は生きてゐるうちに解いておきたいものだ。
ちなみに、近隣の温室農地では50mもあるビニル温室が大蛇の如く隣の棟に乗り上げ、まるで怪獣映画の1シーンを見るかの如き惨状。硝子温室は家屋並にコンクリート土台が造られてゐるので、さすがに壊滅的被害を受けたものは少なかったやうだが、よく見ると殆ど全ての硝子が割れて仕舞ってゐたり、棟の鉄骨が歪み天窓の開閉が出来なくなって仕舞ったものも有るやうだ。
恐るべき台風の威力に、人間様は改めて黙するのみか。