何の御用?


 
このところ、夢と現実がしばしば錯綜し、瞬間的な意識の混濁や突発的催眠状態に襲はれることが多くなってきた。
宇宙の中心を我がものとし、不敵にも制禦しやうと思ったバチが当たったのだ。
天地開闢以来、数百万数千億の人が此の愚行を繰り返し、遺伝子から何ら学ぶことなく永劫に先人の轍を踏み続けてゐる。
言ふまでもなく世界の根源である「太一」は頑固で動かし難く、須弥山たる所以は其処にある。
更にまた、歳月を経て、若い頃の感傷癖が悪い形で我が身を苛むことが多くなってきた。
これこそ長年運命に対する面従腹背と逃避行を続けてきたバチが目に見へるかたちで発現しはじめただけのことなのだが、鏡を見れば其の苦渋する自己の赤裸々が如何に露骨で過酷であるかが一目瞭然てあるだけに、辛いことも多々ある。
「あなたは中心に近付いてはならない。ましてや中心に棲むことなど、もってのほかだ。」
と、昔或る人から厳しく警告されたことを思ひ出すが、よもや其の意味を今頃思ひ知ることにならうとは・・・
宇宙樹は其の木陰に集ひ、伏し拝み乍ら営みを続けるべきものであって、元来触れることなど許されていないのだ。