夢想界

雨また雨そして雨

夢の世界は深淵だ。
以前からしばしばあったことだが、特定の波長を持った人物との遭遇が夢の故事醸成に大きな影響を及ぼし、多くの場合悪夢となって我が夢中にまで滲出し、我輩を大いに苛む。
昨夜の場合は其の典型だ。
そして本来なら、夢世界のなかで完結して終了し、其の一部のみが無意識領域に流入して終はるべき影響が、妙に長引く。それだけ今回の闇は深く、目覚めても猶、現実世界の実意識にまで共鳴を余儀なくされて仕舞ふと言ふことなのだらう。
 
霊媒体質であると断言して仕舞ふと、それは何処となく嘘っぽく、しかも軽薄に響く。しかし、いまだに或る種の受容体であることは確かなやうで、主にダークサイドを吸収する。
今のところdark matter =暗黒物質を受容する量に限界はなささうなので、しばしばブラックホールに例へられることもあるが、さほど積極的な吸引力は持たないので、此の例へは正確ではない。しかし結果として、其の人の心の奥底に沈んだ澱のやうに蟠った堆積物を表面に引き出し、そして自らの体内に吸収して仕舞ふ。其の結果として相手を救って仕舞ったり、癒して仕舞ふことが多いが、これらでさへ初めから意図されたものではないのだ。
 
勿論、光り輝くブライトサイドを受容する場合もあるが、こちらの方はなぜか体内深くに摂取することはなく、骨肉のレベルで拡散させて皮下に留めておく傾向が顕著だ。
比べて仕舞ふとやはり、ダークサイドの力の方が大きいのだらう。ちなみに昨夜は旧暦6月11日、月齢は10.4で、満月まであと5日。
 
此の現象の原因は不明だが、過去の実例を分析してみると、必ずしも好意を前提とした関係を築いた人だけが共振するとは限らないやうだし、中には生理的な不快感を覚えるやうな人物も居る。
さうなると、此の共鳴は生命体としての資質そのものが純粋に行なってゐるものとも考へられるが、いずれにせよ意識上のことなのでよくわからない。
 
兎に角、昨夜はかなりダークな夢だったし、其の内容は午後早くであるにもかかはらず、今でも殆ど覚えてゐる。
てうか、朝は半ばうなされて7時前に目覚めて仕舞ったのだが、外は大雨。未だ薄暗く、本来なら明るくなるまで何時間でも眠り続けるはずの此の偉人を覚醒させるほどの力があったのだね。それほどまでに、昨夜受信した情緒の高揚は激しく、暗黒面は深かったのだらう。愛憎相剋、喜怒哀楽・・・
床に就いたのが午前2時半頃のことだから、4時間余りの睡眠中に我輩の脳内ではいったいどのやうな精神変容が起こってゐたのだらうか。