笹の葉を 軒端に見ゆる 春の夢

茶葉新芽既に準備万端

茶の新芽が開き、蔦の新芽の赤紫色が徐々に艶やかな緑色に変化し、庭に見たことのない羽虫が群れ飛び、天井裏や台所の土間方面からはしきりに鼠の走り回る気配がし、蒲の新緑がしゅるしゅると日に日に伸び行くコンテナの水中には無数のミジンコが発生して動き回り、時折枯れ枝を積み置いた小さな山の陰からアシナガバチが飛んでくる。
菜の花の盛りも過ぎて、茎から無数に突き出した子房が天を指差し微かに揺れて、三椏や白木蓮も既に若葉が屹立。このところの暖かさで、植物界も昆虫界も前倒しの発現状態なのだ。
   
悪魔の軟件との格闘に無理矢理一段落つけ、ちょこっと庭の巡検に出てみたのだが、壁土が崩落して何人も立ち入ることの出来なくなった乾の厠(昔颱風の時に側板がどっかに吹き飛んでいって仕舞ったので、余った?雨戸を打ち付けてあった)の軒先からもしゃもしゃと竹が茂ってゐる。隣は竹藪(篠竹か矢竹のやうな細い竹)なので別に竹が茂ってゐてもよいが、問題なのは其の生え方である。即ち、現状を見る限り家の内部から外に向かって生えてゐるのであって、コレは由々しきことだ。
  
部屋に戻って普段は開かずの間同様の北の廊下の襖を開けて奥を覗いてみれば、やんぬるかな、竹が廊下の床板を突き破り3本4本5本6本と伸びてゐるではないか。北側の廊下は床板も既に朽ちつつあるが故の現象ではあるが、数本は廊下の天井に当たって湾曲したり枯れかけたりしてゐる。
世に言ふ「陋屋」とは即ち、斯くの如き風流なものであらうから今更取り立てて驚きもせぬ我輩ではあるが、心配なのはこれら侵蝕植物を媒体にして侵入する有害昆虫であり、いずれにせよ対策を要する。
   
   

コレが件の由々しき笹の葉にて風流至極
   

蔦だって戸袋の内側から生えております