揺り戻し

今天的岬は暴風!

大いなる寒の戻り。
桜の頃はこれがあるから油断ならない。
今は昔、周遊券を使って出掛けた九州一周旅行*1で、満開の桜の咲く熊本城の二の丸公園あたりの小さな東屋。持ってゐた春夏用の安物シュラフではとても野宿できず、今で言ふホームレス*2のじいさんに教へてもらった地下通路入り口に拾ってきた段ボールを敷き、震え乍ら夜明けを待ってゐたことを、ふと思ひ出す。それ以来熊本と聞くと、ライトアップされた満開の夜桜と、かじかんだ指先の思ひ出・・・
   
ところで先日、NHK教育TVの芸術劇場で見たモーリス・ベジャール作品の数々。*3
当初お目当ては象徴的な円卓を用ひた「ボレロ」だったのだが、意外にも初めて見る「中国の不思議な役人」の方に興味を持った。
ベジャールの「ボレロ」自体は1961年の作品なのだが、実際に作品として見たのは1981年に公開されたクロード・ルルーシュの映画「愛と哀しみのボレロ」("Les Uns et les Autres")でのこと。ソ連:モスクワ、アメリカ:ニューヨーク、フランス:パリ、ドイツ:ベルリンを舞台に展開し交錯する四つの芸術家一家の運命が、波乱に満ちた運命を経てパリのトロカデロ広場で行われるコンサートで一堂に会するてう長大な作品。ヘルベルト・フォン・カラヤングレン・ミラールドルフ・ヌレエフエディット・ピアフの実在する四人の音楽家たちがモデルといふ興味もあって、1度目にパンフレットを購入して改めてあらすじを勉強し、2度観た記憶がある。実際には、ヌレエフを演じた円卓の中央で踊るジョルジュ・ドンの異様な表情が妙に記憶に残り、激しく交錯する4つの物語りに翻弄されつつも、わけのわからぬ感動を得たことも覚えてゐる。
   
ところで「中国の不思議な役人」こと "Der Wunderbare Mandarin" だが、作曲者はハンガリートランシルヴァニア生まれのバルトーク・ベーラ・ヴィクトル・ヤーノシュ。民俗音楽学の開祖とも言はれてゐるだけに、彼の作品はどれも土俗的で、難解なものも多い。
中国の不思議な役人」の作品解説は Wikipedia などに譲るとして、群舞としてのベジャールの作品は躍動的且つ神秘的で、よかった。
作品そのものに原始主義時代のストラヴィンスキーの影響を大いに感じるのだが、原始的な音形が連打され遁走的に展開する部分では群舞とソロの間隙が絶妙で、まさにヴィジュアライザーとして目に見ゑる音楽を実現したてう意味でも、ベジャールの功績は偉大だ。
其の余韻を確認すべく、手持ちのCDの山から引っ張り出したのは、サイモン・ラトルバーミンガム交響楽団を指揮した演奏。
   

バルトーク:管弦楽のための協奏曲、中国の不思議な役人

バルトーク:管弦楽のための協奏曲、中国の不思議な役人

iTunes に取り込み忘れてゐたこの演奏は、音圧や弦楽器の迫力が今ひとつだな。ベジャール・ガラの方は調べてみると録音による演奏で、実際に会場に出掛けた人にとっては音割れや音質の点で大変問題があったやうだ。この際改めてバルトークの作品を聴き直してみやう。
ちなみに、一番最近入手したCDはこれ。
   残念乍ら大好きな「弦楽のための三楽章」(1953)は入っていないが、鬼気迫るフレーズが次々と押し寄せる「エローラ交響曲」(1958)はなかなかの迫力。
   
   
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チベットハウス会員の皆様、ご支援者の皆様へ

チベット亡命50周年記念イベント・ありがとう日本】のご案内

来たる4月3日(金)、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所では、日本国民の皆様や日本政府に対する感謝とお礼の気持ちを込めて、お礼の式典「ありがとう日本」を開催いたします。
日頃よりご支援いただいている皆様にお集まりいただき、50年の歴史を振り返りつつ、平和への願いを新たに親睦を深める場としたいと思っております。皆様のご参加をお待ち申し上げます。
   
   
ご挨拶
   
 皆様ご存知の通り、今年チベットは亡命50周年を迎えました。50年前の3月10日の民族蜂起後、チベットを出発したダライ・ラマ法王御一行は、3月31日にインドへ到着いたしました。この記念すべき日に、ダライ・ラマ法王はじめ亡命政府はインドの国民や政府への感謝の式典「ありがとうインド」を行います。また、同じ日に世界各地域に住んでいるチベット人も、それぞれが暮らしている国で、同様の記念行事を予定しております。
   
つきましては、私たち日本在住のチベット人も日本国民の皆様や日本政府に対する感謝とお礼の気持ちを込めて、お礼の式典「ありがとう日本」を行いたいと思っております。日本では、皆様にご参加頂きやすいよう、4月3日(金)という日程で開催することとなりました。お忙しいとは存じますが、できるだけの多くの方々のご参加をお待ち申し上げます。末筆ながら、皆様のご健康と益々のご活躍を心よりお祈りいたしております。
   
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
代表:ラクパ・ツォコ
   
   
   
日時: 平成21年4月3日(金)午後6時〜8時
会場: 新宿厚生年金会館・ロイヤルホール(東京都新宿区新宿5−3−1 )
    http://www.kjp.or.jp/hp_20/access/
会費: 無料(お志を頂ければ幸いです)
主催: ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
    新宿区新宿5−11−30第五葉山ビル5階
    電話:03−3353−4094
申し込み方法 以下の項目をご記入の上、ファックス(03-3225-8013)か郵送にてお送り下さい。
http://www.tibethouse.jp/event/2009/090403_faxsheet.html

お申し込み締め切り:3月31日(火)必着
(人数に制限がございますので、必ず事前にお申し込み頂きますようお願い申し上げます。)

   
ご注意
どなたでもお申し込みいただけますが、
参加ご希望者が多い場合は、チベットハウスの会員の方を優先させて頂きます。
大変申し訳ございませんが、何卒ご了承ください。     (ダライ・ラマ法王事務所ホームページより)
   
   

   
   
   
【お知らせ】大阪にある国立民族博物館で、ボン教の展示会が催されます。期間は4/23から7/21までです。
   

   
     
1990年代後半から民族博物館を中心として、日本・フランス・中国との国際プロジェクトとして、ボン教の調査研究が行われています。
実はアカデミックな世界では、日本とボン教の関わりはとても深いのです。

たくさんのボン教のタンカ(仏画)やマンダラや仏像が展示されます。
それ以外に、作るのに何日もかかるナムカや、複雑な構造を持つドクパなどの宗教工芸品が展示されます。 これらはボン教密教儀礼で使われるもので、なかなか目に出来るものではありません。

入手の困難な美しいボン教のタンカやお守りやポストカードなど、
会場ではボン教にまつわるグッズも取り揃えられていて販売されています。

この展覧会に合わせて、ネパールのティテン・ノルブッツェ僧院からボン教僧が招かれます。
学識深いボン教僧を交えたイベントが、ゴールデン・ウィークにたくさん計画されています。
対談、シンポジュウム、講演、法話などが大阪と東京であります。
   
ボン教とは
ボン教は、仏教よりも遥かに古い歴史を持つ総合宗教文化です。チベット仏教の陰に隠れ、さまざまに憶測されるだけで、その本当の姿は今まで一般に紹介される事がありませんでした。しかし、チベット仏教をはじめとするチベット文化はどれも、ユニークなその源をボン教の中に見つけ出す事が出来ます。そのチベット文化の源は、何度も滅亡の危機にさらされながらも、21世紀の現在も力強く生き延びています。
   
詳しくは以下のリンク先をご覧ください。
http://www014.upp.so-net.ne.jp/bon99/event.html
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/tivetto/
http://mixi.jp/view_community.pl?id=453475
 
本物のボン教が日本にやってきます。   (この記事はルク☆ジィーさんからの告知の引用です)
   
   

   
   

*1:数日に一日の割合でユースホステルに泊まり乍ら、それ以外は基本的に野宿の旅。

*2:昔は別に偏見無く、ごくフツーに「浮浪者」と呼んでゐた。

*3:★ 特集 東京バレエ団公演『ベジャール・ガラ』の見どころ 20世紀を代表する現代バレエの振付家モーリス・ベジャールが、2007年、惜しまれながら80年の生涯を閉じた。ベジャールの薫陶を受けた東京バレエ団は2008年5月からベジャール追悼公演<6ヶ国21公演>を行い、2009年2月に東京でそのフィナーレを迎えた。ベジャールは深い洞察力に基づく哲学的テーマと、肉体の存在を強調した振付で、その名を世界に轟かせた。1987年まではベルギー、それ以降はスイスを拠点としていたが、東京バレエ団とも密接な関係を築き、「ザ・カブキ」(1986)、「M」(1993)といった作品を振り付け、「日本にいるわが子」と呼んで厚い信頼を寄せていた。今回、東京バレエ団が追悼公演で取り上げたのは「ボレロ」「中国の不思議な役人」といったベジャールの代表作。「ボレロ」にはベジャールが最も信頼していたダンサーの一人、シルヴィ・ギエムが客演し、多くのファンを熱狂させた。番組ではシルヴィ・ギエムや、モーリス・ベジャール・バレエ団の芸術監督ジル・ロマンと元団員の小林十市にインタビューし、彼らのモーリス・ベジャールとの思い出を紹介すると共に、今回の公演の見どころをお伝えする。ゲストは舞踊評論家の海野敏氏。