包括者

   
   
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以下、中原一博氏による「ダラムサラ通信」チベットNOW@ルンタから、去る3月10日にダラムサラで行はれたダライ・ラマ法王記者会見の内容部分を抽出して繋げたものを引用します。(未完)
   

   
   
ダラムサラ3月10日、ダライ・ラマ法王記者会見

   

   
   
法王:質問を聞きたい。
   
(時計を見ながら)12時半か、、、皆さんはもう昼食は済まされたのかな?
何、食べてない。空っぽ!お腹は空っぽか?ハハハハハ、、、、
ヒイヒイヒイ、、、(法王はこの時、座につかれる直前にお堂の本尊に対し(半五体投地で)三拝されたせいで、息を少し切らされていました)

実際私は、、、いや我々と言うべきだが、非常に喜んでいる。
これほど多くのメディアの人々がダラムサラまで来てくれた。
チベット問題に)関心と懸念を持ってくださっていることに感謝する。

私の言いたいことはすでに書面で先ほどお伝えした。
コピーをみんな持っているだろうから、、、
もう他には何も言うことはない、、、ヘヘヘヘヘヘヘ、、、。

すぐに、質問を受けることから始めよう。
   
質問1、

H.N.と申します。

法王:日本人か?

質問者:ハイ、私は(どこどこの者で)現在法王のドキメンタリーを制作中であります。

(質問は長く、難解?で内容はほとんど掴めなかったのですが、何だか物質主義と精神主義(さとり?)の関係について質問されたようでした)

法王:さてさて、はたしてここにいらっしゃる他の人々も(今)同じような興味をもってここに来られたかどうか、判らないが、、、
私はそうは思わないが、、、、ハハハハハ、

(はっきり言って、みんな異例のスンチュドゥチェン(3月10日蜂起記念日)の法王記者会見ということで、緊張して臨み始まった質問第一番が、こんなまるでチベットの今の状況に直接関係ない質問だったので、ずっこけたのです。後からお前もあれの仲間か?とチベットメディア仲間にからかわれたりしました。しかしそこは法王、ちゃんとお答えされました)

3月10日法王記者会見 7でも、私はこの質問に興味がある。
ステートメントの中でも言及したことだが、私には三つの約束がある。
その第一番目は「人間の幸福と価値を促進すること」だ。
人の幸せは大いにその人の内的価値による。

中には億万長者であり、すべての設備が整い、何でも手に入れることができる人がいる。しかし、内的には非常に不幸せな人がいると知った。
つまり、物質だけでは100%人を幸せにすることはできないということだ。

一方、この地球上60億の人々は、仏教徒であろうと、私もだが、たとえ私より余程高い境地に達している人であろうとも、全員食わなければならない。
昼食は必要なのだ。
飯なしには生きることはできない。
だからお金も重要なのだ。
この身体を維持するためには物質が必要なのだ。
物質的発展も必要だ。

しかし、一方で物質の限界も知っておくべきだ、物は身体的安息を与えるのみで精神的休息を与えるものではない。
お金がすべての幸せをもたらすと考えている人は幻想を追っているだけだ。

かつて、日本では毎年経済が右肩上がりに発展していた時があったであろう。
そのころ私は物質的発展には限界があると説いていた。
ある時、その発展には、もうこれ以上伸びないという限界が現れるであろうと。
常に増加していくとの考えを持っている人々はある日突然もうこれ以上伸びないというスタグネーション状態に陥った時、非常に驚き、ショックする。
このことを日本でもう15年前にも言ったことがある。

何れにせよ、すべての人が物質的価値の限界を認識すべきだ。
物はよろしいもので必要なものだ、しかし心の平安を含めたすべての幸せを物質に求めることは間違っている。
我々はもっと内的価値に重きを置かなければならない。

3月10日法王記者会見 8愛情の価値、信頼の価値これらが非常に大事なのだ。
幸せな人、幸せな家庭、幸せな社会を実現するためにはこれらが必要だ。
仏教に四つの教えと言うのがある。
二つの喜びを得るための二つの方法、一つは短期的もう一つは長期的喜びと方法。
長期の幸福とは完全な解放のことだ。短期のそれとは「富」だ。
この長期の幸せを求めるための方法がダルマ(法)だ。
瞑想とかを含めた心を訓練することだ。
それにより、永遠の幸福を手に入れることができる。
我々仏教徒が悟りとか解放と呼ぶものだ。

短期的な安楽、快適さとは「金」のことだ。
我々には「金」が必要だ。
もちろん「金」を得る方法は、正当でなければならない、うそをついたり、人を利用、搾取したりして得てはならない。ヒヒヒヒヒ、、、、
ある大きな会社とかはもっと大きな利益を得ようと、嘘をつくことをためらわない。
そうではないかな?これらが今回の経済危機の原因でもある。

最近イタリアに行った時、友人のビジネスマンと話をした。
彼に尋ねた、「マーケットの力は人のコントロールを越えているというが、一方マーケットは人が作りだしたものだ。だから、人がコントロールできるべきだろう。人の作り出したものが人のコントロールを越えるということ、これは解らないことだ。一体どういうことなのか?」と。
彼は答えて「この今の経済の混乱は人の心と関係があるのだ。異常なほどの満足を知らない貪欲な心の下に、疑い、嘘をつく。これが今回の経済危機を引き起こした要因の一つだ」と。
つまり、経済的安定もまた、誠実、真実、透明性によっているのだ。これは明らかなことだ。
つまり(経済活動にも)道徳観が必要だということだ。
   
これまで、次。

ワシントンポストの者です。
質問その二

ワシントンポスト:会談が進まない中、チベットの状況は悪化するばかりのように見える。
これからの見通しは?

法王:私のステートメントにおいても、内閣のステートメントにおいてもはっきりと表明していることだが、我々の要求はすべて最後の会談の時中国側の代表に手渡してある。
すべては文章で明確に示してある。
これは中国側からその前の会談で要求されたものだ。
「すべての要求を明らかにせよ」と言われた。
だからメモランダムという形式で答えた。

これについて如何なる協議も行われることなく、彼らはただ、全面的に否定した。
このメモランダムのすべての意味は「半独立」とか「隠ぺい独立」だと断定している。
このように、完全に内容自体を拒否したのだ。

今、多くの友人、国々が中国を説得することに努力してくれている。
だから、様子をみよう。

中国の多くの知識人、作家たちが中国のチベット政策は間違っていると指摘している。
だから、時が来るかもしれない。

10.3.09 Dharamsala 法王の記者会見 11
質問その三
チベット・ポストだが、
インドがチベットの真の自治を実現するためにもっと積極的に果たせる役割とは何か?

法王:インドはこの50年間の我々のホームだ。
50年前から我々はホームレスだ。
しかし、ホームレスもそれから色んなホームを見つけた。
インド政府からは居住、教育その他の分野でできる限りの援助を受けた。

一方、チベット問題に関しては、勿論インドも中国と長い国境線を境に隣接しているし、そのかなりの部分はまだ最終的に決定されものではない。
だから、まだ困難はある。
故に(チベット問題において)インドが出来ることにも限界があるのは理解できよう。

インドの政府も人々も一般的に非常に我々に同情的だ。
でも過去には私も「インドは少々心配し過ぎだ」とか言ったこともある。
しかし、インドの態度は理解できるものだ。
また、インドのメディアの我々に対する関心は益々強くなってきている。
だから、時がくればインドは必ず、できる限りチベットを助けてくれると信じる。

   
質問第四
日本の共同通信社のSだが、
(このが先のブログでお知らせしたものです)
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51179267.html
ただ、次の質問の間にサンドゥン・リンポチェがコメントを入れられた。
10.3.09 Dharamsala 法王の記者会見 13
リンポチェ:法王は非常に洗練された言い方で話されたが、少し説明もいると思われる。
この中道路線は中国政府の態度に対する反応として提案されたものではない(訂正箇所)。自発的にこちらが提案したものだ。この方法は双方に利のあるものだ、、、(話の途中で法王がここで話し始める)

法王:これは明らかなことだ。
この中道路線は、一方が勝利し、一方が負けるというような提案ではない。
双方に勝利をもたらすものだ。

この考えを我々は74年ダラムサラにおいて決定した。
そのころ中国の人々は文化大革命に完全に没頭していた。
だから、我々は中国から要求されてこの決定を下したのではない。
何れは、中国政府との話し合いが始まるとの予測の下に自発的に決定したことなのだ。
つまり、真の、意味のある自治を求めることになったのだ。
これが中道路線だ、、、(ここで今度はリンポチェが割って入り)

リンポチェ:我々はこの路線遂行に更なる確信をもっている。
それは、人々からの信任を得たからだ。この際中国は関係ない。

法王:グッド!

次、そこのインド人、、、

10.3.09 Dharamsala 法王の記者会見 12
質問第五
ロイターの者だが、
法王は1959年に亡命を決意されたことに対し後悔を感じられたことはないか?
法王:私はこの50年間、常にあの時の事を思い出し続けてきた。
正しい判断だったといつも思っている。

もしも、中国政府があの17条協定を継続的に守っていれば、1959年の危機は決して起こらなかったことであろう。
しかし56年、57年頃から次第に極左寄りの政策が始まった。
中央のほんのちょっとした政策変更がチベットで実際には大きな変化となって現れた。
これが1956〜9年までの衝突の原因だ。
56年の列車の路線変更からして、その後の59年の結果はすでに不可避のものだったのだ。
そのような状況において、最善の方法は脱出することだった。

このインドに亡命してすでに50年経った。
地球のこの場所でチベットの宗教と文化は完全な自由の下にある。

インド人の友人によく語ることだが、「インドは我々の精神的ホームである。仏教はインドから始まった。だから、我々の多くは自分たちが幸運であるとまで思っている。
過去には一生のうち一度でもインドに行くことができればラッキーと思われていた。
それが、今は自分たちのホームとなったのだ。ハハハ、、、簡単にそうなった、、、ハハハ

皆さんも知っているようにインドと我々の関係はグル(師)とチャラ(弟子)の関係だ。
インドは我々のグルであり先生だ。
だから私は時々インドの友人にこう言う
「弟子が苦況にある時には師はそれを助ける道徳的責任があると」ハハハ、
そうではないかな?ハハハ、、、

このようにして、我々は1956年の政策変更により、今こうなっているのだ。
もちろん1980年代初めにおいて、胡耀邦がいたときには希望があった。
彼は素晴らしい共産党指導者だった。
彼には誤りを認めるだけの勇気があった。

私のステートメントにも引用したが、1980年彼がラサを訪問した時、チベット政策の間違いについて民衆の前で謝罪したのだ。
過去に如何なるダメージをチベットに与えたかについて語った。
その時は、本当の希望が持てた。

しかし、彼の政治生命はあまりに短かった。
中国にもこのように時に希望の持てる人も現れるが、基本的には強硬派が政権を担い続けている。
だから、我々の1959年の決定を間違っていたと思ったことはない。
正しい決定だったと思っている。

    
次、、、、そこの中国人、
10.3.09 Dharamsala 法王の記者会見 14
質問第六
質問者:台湾パブリック、、です。

昨日法王は台湾の人々からの「台湾訪問」の要請を受けられたはずだが、どうされるお積りか?今年台湾を訪問されるのか?もしそうでないなら、その理由は?

法王:昨日、台湾からのジャーナリストにあった。
ジャンパ・プンツォをはじめとする、プレスクラブからの台湾訪問要請を受け取った。
それに対し、私は「原則的に承諾する」と答えた。

私は常に台湾に行きたいと願っている。
そこで、百万の中国人の目の前に顔を出してみたい。

我々は「反中国」ではない。
我々は中国の文明と文化を称賛するものだ。
地理的に我々はすでに数千年の間隣り合わせに暮らしてきた。

中国本土に行って直接、私の(中国に対する)信と誠実さを多くの人々に示すことが許されない今、私は台湾を選んだ。
台湾こそ、私の信と誠実さを中国の兄弟・姉妹に対して示す場所だと。

ここで、「中国人」と私の言うとき、誤解しないでほしい。
(記者を示して)あなたも中国語を話すであろう。
中国語を読み書きし、話し、中国文化の下にあるすべての人々のことだ。
台湾人でも、中国人でも、その他でもだ。

台湾こそ、私の中国人に対する信と真を示す場所と考えた。
これが、第一のポイントだ。
より親密な理解を求めてのことだ。

次に第二のポイントとして、台湾には仏教徒が大勢いることだ。

こんなことから、私は過去二回台湾を訪問する機会を得た。
完全に宗教活動のみだった。
実際最初の訪問の時、中国からの独立を要求していた野党(DBP)の人たちと会談した。
私はその時「チベットに関する限り我々は独立を求めていない」と言った。
「我々は離反を求めていない」と。
今、あなた方台湾の人々は経済的理由から、一方違いもあるということから、本土とユニークで特別に緊密な関係を築くべきだ、と語った。

そして、二度目の訪問の時にも、私は空港で「中国の係官を私の台湾訪問の間中24時間監視するために付けてほしい」と言った。
どこに行くのか?誰と会うのか?すべて見てもらいたいと。
はたして、チベットの反動主義者!と台湾の反動主義者!が結託しているのかどうか、調べるべきだと。ヘへへへへへへ、、、
それはただの訪問だ、オープンなものだ。

基本的に政治的なものではない。
もちろん、ある種の政治的意味合いは発生する。
しかし、基本的に私の動機に関する限り、そこに全く政治的なものはない。
将来の台湾は彼らによる。
政治に関する限り、完全に彼らの意志によると、明言している。

だが、民主主義に関する限り台湾のなしたことは大きい。
他の自由世界はこの達成された民主主義を守る道徳的義務がある。
これが、私の立場だ。

ポイントは、私の台湾訪問は完全に宗教的、教育的なものではあるが、
2001年の2度目の訪問の後、2002年北京政府との接触が再開されたことだ。
中国政府は私の台湾訪問について異常な関心を示した。
そして、訪問の延期とかが起こった。

ここ数年の間、多くの中国人、主に台湾、シンガポール、マレーシアその他の中国人に対し仏教講義を行って来た。
多くの台湾人から「あなたは我々の事をお忘れになったのか?」と目に涙を浮かべて訴えられた。
私は非常に悲しいと感じた。
私はいつも言う。
「私はあなた達のことを決して忘れていない」と。
「私は常にあなた達のことを思っている」と。
仏教徒として。

しかし、政治的には常にはっきりしている。
私もチベット人の面倒を見ないといけない。今、漸く中国政府と直接接触できるようになった。中国は私の台湾訪問に対し厳しい顔をする。
だから、私の台湾訪問は慎重に判断されねばならない。

昨日も彼らに「基本的には承諾するが、最終決定にはもっと時間が要る」と答えた。
それは昨日(3月9日)のことで今日(3月10日)に私はステートメントを発表した。
普通ならいつものように、我々は何らかの北京からの「お叱り」を期待するところだ。
ハハハハハ、、、、これが期待されている。
何れまた「反動主義者の、、、、ではなくて、、(リンポチェの方を向いて)何だったか?」

リンポチェ:「分離主義者です」

   

   
法王:そうだ、そう、それだ。
ついでにインド政府に対しても非難してくるかもしれない。
何れにせよ、それは計算済み(expected)だ。
一方で、チベット人からも厳しい言葉を返されるかもしれない。
それも有り得る。
ということは、我々のアプローチが本当に中道だということを示している。へへへ、、
こっち側の人も満足せず、あちらの人も満足しない。
どうしたらいいのか!?(What to do?)ヒヒヒ、、、。

でも、明日とか、数日とか数週間の間に来る非難は何でもない。
怖れや怒りの心からそんな反応も帰ってくることであろう。
それは何でもない。
しかし、数か月後に解るであろう。
もしも、チベットの内部で、何かしらの状況改善が起こるなら、我々の対話は意味あるものとなろう。
そうではなく、今のように中国の態度が硬化したままならば、その時は私の台湾訪問は難しいものとなろう。
一般的には本土の中国人が沢山台湾を訪問し、交流は深まっているので、訪問も簡単なはずだ。

以上は昨日も彼らに説明したことだが、今ここでもっと大勢の前で説明したまでだ。

では次の質問。
   
今度はヨーロッパ人にするかな?
以下昨日の続き、法王の記者会見ですが、ここで一つ昨日のレポートの訂正があります。
一か所大事なポイントを誤訳していました。

共同通信の質問に法王が答えられた後、サンドゥン・リンポチェがそれに対するコメントを入れられているところで、
「この中道政策は中国側の態度に対する反応だ」と訳したのですが。全くの逆誤訳でした。ここは「この中道政策は中国側の態度に対する反応ではなく、自発的なものだ」が正しいのです。
文脈から言ってもおかしかったですよね。すみません。

ーーー

10.3.09 Dharamsala 法王の記者会見 15質問者:スウェーデンフリーランスの記者だが、
失礼な質問かも知れないが、、、私の通訳のチベット女性が「法王は自身の死をコントロールできる」と言っていたが、、、ではあなたはいつお亡くなりになられる積りか?

法王:おお、、、あなたに仏教の信について語った女性がもっとしっかりした仏教知識を持っていれば良かったのだが、、、ヘヘヘ、、、、。

まず、仏教に関して二つのレベルの概念がある。
民衆レベルの概念と、本当に権威あるナーランダ大学の伝統に沿った概念とだ。
一般にチベット人だけではない、日本人だって、中国人だって一応我々は仏教徒ということになっているが、一般の人々には十分な仏教に関する知識はない。
そうではないかな?

率直に言って、私には自分の死をコントロールするような力は全くない。
この明らかな理由は、例えば、去年私は胆石を取り除く手術をしたが、これは自分の望んだことではない。でもコントロール不可能だった。アハハハハ、、、、
だから、私の死もこのようなものだろう。
コントロールできるはずがない。
死の時は来るときには来る。ハハハハハハハハハ、、、、、
しかし、たぶん、来世については、意志の力によって、決心の力によって少しはコントロールできるかもしれない。

私の常なる願いは、
「この宇宙が存在する限り、有情の苦しみがある限り、私は留まる。
力の限りその者たちを助けるために」だ。
これは私のお気に入りの祈願だ。
そして、そのように決心している。

10.3.09 Dharamsala 王の記者会見 16第一世ダライ・ラマが弟子から、「あなた様はすでに浄土に行かれる用意が有られるようだ。そのような印が現れている。しかし、どうかこの世の長寿を全うされますように」と懇願された。
その時法王は「私は浄土などに行きたいと思ったことなどない。私の願はより多くの苦しみのある処に生まれることだ。そうなれば、私がもっと役に立つから」と答えたという。

30年前に、このダライ・ラマ一世に関する資料を読んだ時、私は心打たれた。
だから私もこれを見習うのだ。
利用価値ということだ。
私はホームレスになって、50年だが、私は幸せを感じる。
この状況の故に私は役立つ人であり続けることができた。
このことが大事だ。
もちろん、自由がなければこれはなせないことだ。
この50年間、ホームレス、ステートレス(国もない)だったが、だから却って周りの人々の福祉増進のために何らかの貢献を成すことができたのだ。
だから、私は楽しい。

ところで、あなたは私がいつ死ぬかを訊ねているが、、、それは分からない。
おそらく、今晩がその日ではないだろう。これはほとんど確かだ。
99%は確かだ。でも今夜、大きな地震でも起これば、分からない。
でもその時は皆さんも危ないわけだが、、、ハーハハ、ハ−ハハハハ、、
   
次、
中国人か?

10.3.09 Dharamsala 法王の記者会見 19質問者:そうです。これが私のパスポートです(中国パスポートをかざす)。
私は89年に天安門前でデモに参加しました。
中国政府は多くの子供も殺しました。
家も壊されました。
2002年にニュージーランドに逃れました。
でも今もこの中国パスポートを持っています。
それは、中国は私の国だと思ってるし、、、

法王:グッド! それは良いことだ。

質問者:ニュージーランド胡錦涛が来た時、チベット人がデモをするのを見ました。
2007年のそれは大きかった。
チベット人と共に、我々もダライ・ラマを共有したいと思った。
法王はチベットダライ・ラマであるのみならず、我々中国人のダライ・ラマでもある。

法王:誰もそんなことは言わないがな、、、ハハハハハハ、、、
でも実際、我々はそう思っている。この前ワシントンに行った時、中国人の前で「私は中国人になりたい」と言った。
あなたの持っているそのパスポートを持っても良い。OKだ。
我々は中国人ではない。しかし、市民として中国の中に留まりたいと言っているのだ。

質問者:・…上海で6人の警官を殺して自殺した男が・・・・08憲章が…どうしたらよいか?(この部分良く分かりませんでした)

法王:あなたの質問ははっきりしないが、、、比較的いい英語だが、、、2002年に出られて、それから習われたのなら、大したものだ。
いや、中国を出られる前にも英語を習っていたのか?

質問者:ハイ。北京で。

法王:じゃ、それほどでもないかな、、、ハハハ(満場笑い)
それにしても、我々二人は同じ類(same kind)の人間なのだろう。
独裁政権に反対している。
我々は自由を求めている。
「08憲章」の事を聞いたのは、私がポーランドにいた時だが、直ちに私は支持を表明した。これは道徳的責任からだ。
これは支持すれば、見返りにどれだけの利があるとかいう話ではない。

何事か正しい、道徳的案件については、支持を表明すべきなのだ。
だから私は支持を(書くしぐさ)表明した。

前にも言ったが、中国は世界でもっとも人口の多い国だ。
他の世界から尊敬を得たいと熱望している。
そのためには、透明性、公正な司法組織、メディアが完全に自由に活動できること等が必要だ。
これらが達成されるなら、現在の共産党の下に漸進的に民主化が進むと考える。
これが、正しい方向だ。
突然の崩壊、変更。中央政府の突然の崩壊は大きなケオス(混乱)を引き起こすであろう。
これは誰もが避けたいことだ。
漸進的変化が最良の道なのだ。

だから、私は指導者層の中の若い人たちや、そのスタッフの中の外国で良い教育を受け、民主主義の価値をすでに味わったことのある者たちに期待する。
彼らの力による序々に中国が民主化されるなら、そのとき初めて中国は「尊敬を受ける超大国」になれることだろう。

中国の友人も言っていた。
超大国になるには、いくつかの条件があると。
まず第一に「人口」、これはもうある。
第二は軍事力。これもすでにある。核もある。
第三に経済。これも今は大体ある。
何が、足りないか?
それは道徳的権威だ。
信頼され、尊敬される超大国になるには道徳的権威がいる。
これが欠けているのだ。

このところの中国の、チベットだけではない、ウイグル人や自国の反体制中国人に対し、少しでも政府反対の意見を表明すれば、逮捕するという態度は非常に良くない。
中国のイメージのために良くないことだ。
だから、尊敬される超大国になり、より効果的に世界をリードする国になるためにはこの点は非常に大事なことだ。
このことは常に中国の友人にアドバイスしていることだ。

数日前に中国の外務大臣が言っていたが、、、、コピーはあるか?
(コピーが手元に渡され。それを読まれる)
「(中国と)良好な関係を続けたいなら、その領土がダライ・ラマチベットの独立をもくろんだ分裂主義的活動に使われないようにすべきだ」

今回も、皆さんが証人となったように、我々は完全に「中道路線」を守っている。
「独立」を求めていない。
あなた方に、このことに完全にコミットしていると100%保証する。
(非常に厳しいお顔でみんなを指さされる)
あなた方が証人だ。

この数十年の間、世界中至る所で、私はこのことを明言してきた。
多くの人たちがこのことをはっきり認識している。
我々は独立を求めていないと。
だから、たとえば私の兄とか、他のチベット人たちも私のこの立場を非難している。
(コピーを示しながら)この中の「独立を求めている」とか「分離主義者」とか言う言葉は、、、、これはチベット人のいうところの「実体のない影」のようなものだ。

(再びコピーを見ながら)
ダライ・ラマ側は依然として中国全領土の四分の一にあたる大チベットと呼ぶ領土の中から軍隊を追いだし、すべてのチベット人以外の住人を移住させようとしている。
・・・・・ドイツやフランスその他の国であろうと自らの領土の四分の一が奪われるのを誰が許すか。中国は常に統一を支持することを忘れないように。」

エヘヘヘヘヘヘヘヘ、、、
私はかなり真剣だ。これを聞いた時は相当驚いた。
外務大臣!がこのような表現を使うとは。

二つの可能性がある。
一つは、全くの無知からか?
あるいは、意図的に嘘を言っているか?だ。
だから、私の代わりに、皆さんが中国の外務大臣に聞いてほしい。

チベットから中国軍を追いだし、チベット人以外を移住させる」、、、
この同じ質問を私はオーストラリアである中国人のジャーナリストから受けたことがある。
私は「いつ、どこで私がそのようなことを言ったのか?」と尋ねた。
しかし、答えは帰って来なかった。

皆さんには私のすべてのステートメント、記録を調べてほしい。

もちろん59年のすぐあと頃には、何も決定されていなかった。
我々の中心の課題は移住であり、教育であった。
それと国連に訴えることだった。
しばらくして、緊急の課題が少しは解決されたころ、初めて長期的展望についてじっくりと考え始めた。
そして1974年に長期的政策を決定したのだ。その時から我々の立場は一貫している。チベットの独立を求めてなどいない。
会う人すべてに説明している。

自治」とはどういうことか?
外交と防衛以外のすべて、教育、経済、環境、宗教、これらはチベット人自身にゆだねられるということだ。
外交と防衛以外、と言うときここで一つの質問が起こる、、、、
インド人の友人はどこに行った、、(法王手をかざしてその人を探すしぐさ)
あれ、行っちゃったのかな?、、、あなたじゃない、、、
20年ほど前にある雑誌のエディターと会ったことがある。
その時この外交と・・・の話になったので、私はジョークで「もしもインドと戦争になったとして、我々チベット人

10.3.09 Dharamsala 法王の記者会見 17インドに銃口を向けるなど考えられないことだろう。インドは我々のグルだ。先生だ。
だから、インド人に撃たせろということになるだろう。ハハハハハハハ、、、
みんな笑ったよ。

独立を目指していないということは、外交と防衛は彼らに任せるということだ。
私は一度も中国軍はチベットから撤退すべきだと言ったことはない。
だから、お願いだから、私の代わりに中国の外務大臣に聞いてほしい。
「いつ、どこで私がそのようなことを言ったのか?」を。
できるか?私の代わりに聞いてくれるか?(一人ずつを指さされる)

この中には北京に支局を構えている通信社も多いだろう。
彼に訊ねてほしい。訊ねるべきだ。
どこで言ったのかと!?(法王本気の顔をされる)
これは本当のことではない。
中国の外務大臣は巨大な軍隊をもっている。私はたった一人の避難民だ。
しかし真実に関する限り、違いはない。
力に関係ないものだ。
だから私は彼に、いつ、どこで、発言したかを聞く権利がある。

ワシントンで語った一つのコメントがある。
これは遠いビジョンとしてだが、チベットが将来「Zone of Peace」になればいいと語った。「アヒンサ」の地だ。
これはどこでもいつも話している、ヨーロッパでもワシントンでもカナダでも日本でも、これは私の長期的ビジョンとして話していることだ。
全世界はいずれ非武装化されなければならない。
これは段階的に進められる。
外の非武装化の前に内なる非武装化がなされるべきだ。
これは我々のビジョンだ。何も隠すことではない。
中央アジアチベットは平和地帯となるべきだ。
だからと言って、今すぐにチベットから中国軍は撤退すべきだと、言ったことは決してない。

例えば内モンゴルには3,4百万のモンゴル人に対して1800万人の中国人が住んでいる。こうなるともう自治と言う意味もない。
自治と言う限り、その地域において人口の過半数を保っていないければならない。
この意味で危険はある。
例えばラサだが、10万人のチベット人に対し、中国人を中心とするチベット人以外の人口は20万人に達する。
すでにチベット人以外の方が多くなっている。
これはチベットの文化を守ることに対する脅威だ。
言語を含めてだ。
この点に関して時に言及することはある、、、しかし、
すべてのチベット人以外の人は出て行くべきだ、などと言ったことは一度もない。
だから外務大臣に質してみたいのだ。

無知からか?(意図的)嘘なのか?
どこでいつ言ったかを証明すべきだ。
証拠を示すべきだ。
去年もそうだったが、、、去年3月10日の騒動が始まった後、温家宝首相がメディアの前で「すべての問題は外部から、ダラムサラから引き起こされた」と語ったとき、私は「どうかちゃんと調査してほしい、中国の係官がここに来て、すべての私のファイルとチベット人に話したすべての記録をチェックしてほしい」と中国政府に対し要請した。
でも何の返答も帰って来なかった。
だから、今回はあなた方に中国側に質問してもらう義務を押し付けよう。ハハハ。
(会場から拍手)
   

   
※ 詳細は左のリンクから、「チベットNOW@ルンタ」をご覧下さい。