賑やかしさと騒がしさは似てゐるやうで違ふもので

ワーレントラスの美しい構造

快晴。
先づは、昨天果たせなかった買ひ物をせむと、浦を跨ぐ大橋を渡り彼岸過ぎまで。
既に仰山の客で賑はってゐたが、予定してゐたものを確保。これらは偉人からの礼品として、近日中に方々に送られていく予定だ。
折角西三河の地に足を伸ばしたのだからと、三州瓦の中心的産地である高浜市やきものの里かわら美術館へ。衣浦大橋を渡った直ぐの所に鎮座する巨大な建築物だが、其の実はホールや陶芸教室の出来る空間を兼ね備へた複合施設だった。
ミュージアムショップが受け付けになってゐて、200円の観覧券を買わうとすると、「何か牛に関係する小物をお持ちでないですか?」と聞かれる。意味不明で唐突な質問に怪訝な顔をしてゐると、「本日は新年の特別企画で、牛に関係するものを持ってくると入場無料になるのです」とのことだったが、「ありませんねー」などと適当に答へると、「ストラップでもハンカチの柄でも何でもいいんですよ」との念押し。有り難いことだが何も持ってゐないし、チケット代も200円とさほど高くないので特典の恩恵に肖れず。
展示室は狭い階段を上がった2Fと3Fで、2Fの企画展示室では小企画展「日本瓦の文様展」が開催中。小企画と言ひ乍ら、古代から中世・近世にかけて、代表的な軒丸・軒平が展示されてあって、大変充実した内容。惜しむらくは”此の場に及んでも猶”展示文物は撮影禁止とのことで、いったい禁止することにどのやうな意味があるのか不明。いろいろな研究機関や博物館などから借りてきた文物であることはよくわかるが、大半は既に報告書や拓影が発表されてゐるものばかりだ。折角、それらの実物を至近距離で詳細に眺めることが出来る好機にもかかはらず、撮影禁止とはこれ如何に。
結局多くの重要な古代瓦が集められた3Fの常設展示も矢張り撮影禁止とのことだったが、それではこれらの展示文物について解説したカタログが販売されてゐるのかと思ってミュージアムショップで尋ねると、「ございません」とのこと。企画展の分だけは、A3を二つ折りにした8頁の資料が置いてあったのでもらってきたが、概説とは言へ充実した内容の解説で、何故収蔵してゐる文物に関するカタログが存在しないのかまったく理解できない。
兎に角、展示品文物の内容が充実してゐただけに、何とも腑に落ちない違和感を感じたまま美術館をあとにしたのだが、実にモッタイナイことだ。