集塵回路

猫様!

昨夜は二重螺旋の夢世界に巻き込まれ、宿泊させて頂いてゐる中島邸の6畳空間も覚醒を意識したとたんに可塑性が高まってぐにゃりと歪み、布団ごと渦の端っこに巻き上げられ、危うく勝手に開いた障子と硝子戸の外側に放り出されさうになって仕舞った。
一旦旋回をはじめた空間は緩やか乍ら回転速度を徐々に上げ、家具や小物をゴムのやうに引き延ばせ乍ら中心に巻き込んでいく。
回転の中心部をなかなか見定めることは出来ないが、空気の対流の粗密は皮膚感覚として感知することは出来るやうなので、大まかに推測することは出来た。しかし、押し入れや壁を自由に通り抜けて常に移動し浮遊する核はそのものが不安定で、しかしエントロピー自体は増大する傾向にあることだけは察知できたのだが・・・
それでも、深夜てうに路地の向かひの窓辺からは悟ったやうな神妙なかむばせをした鞠猫が冷ややかな目つきでこっちを見つめてゐて、天上から吊された蛍光灯の紐を掴んで、辛ふじて外部に吸ひ出されるのを免れたやうな有り様。
恐らくは昨天、鶴岡先生がカフェ・バッハの神秘空間で巻き起こした言霊によるフラクタル的渦紋波動砲の余波が、講演終了後の地震を誘発し、更には其の片鱗を体躯に付着させて帰宅した我々の無意識と結合し、我が夢中に変性意識を発現させつつあった影響であることはほぼ間違ひ無いのだらう。
(-。-;)ふぅー危なかった・・・
                   
                   
                  

                  
                    
さて、今天は浅草も含めて下町一帯はお祭りのやうで、荒川に近い此の界隈の家々の軒下にも祭礼の提灯が掲げられ、良い雰囲気に。
やうやう二重螺旋から脱出し、朦朧体となって居間で即身仏状態からの解凍を待ってゐると、近所から祭り囃子が・・・
カメラ片手にふらふらと出てみると、巨大な太鼓を御輿に見立てたコビト御輿を先頭に、トラックの荷台に乗ったお囃子隊がゆるりゆるりと登場。此のお囃子がなかなか威勢が良く、笛も太鼓もキレが良くて粋な節回し。恐らくは、いっしょに乗ってゐる肝煎りたちのご指導の賜物なのだらうね。そして其のあとに、わっしょいわっしょいと下帯姿のおっさんたちの担ぐ御輿が登場。交通整理の婦人警官やみどりのおばさんまでもが笛を吹き踊りながらやってくるし、花笠被った大団扇係が2本3本と出現し大いに雰囲気を扇ぎまくり、小さいけど濃厚な祝祭空間が出現。
そりゃー今夜あたり浅草に行けばそれはそれはたいへんな賑ひなのだらうけど、残念なことに小雨混じりの天候で、しかも朝から肌寒く、気温は20度ちょっとかしらむ。コビト御輿の宿を覗いてみると、此処でのおやつはアイスクリームだったらしく、さすがに此の天気では売れ行き悪く相当余ってゐる様子であった。
                 
 
                     

今天は我輩も半袖+サンダルの真夏モードであったこともあり、いくつか候補に挙がったお出掛け先も全てキャンセルし、中島氏と山積した懸案事項の話し合ひに徹することに。
昨天の鶴岡先生の講義のこと、明天予定してゐる炉穴のこと、電脳接続と電絡網のこと、所謂名古屋メシのこと・・・
忽ち夕刻となり、小雨もまんだ止む様子は無かったが、遠くからはお祭りの花火の音が遠雷の如く響き来る。我輩は食材の調達も兼ねて、小雨の中果敢に砂町銀座に出掛け、新たに発見された赤玉屋を中心に、閉店間近の魚屋で浜名湖産のアサリを調達し、お総菜屋の店先でいくつかおでんを購入し、帰宅後直ちに調理開始。
前回御世話になったときに送っておいた赤味噌を取り出して、たっぷりアサリの入った味噌汁をこさへ、中島夫人である花子さんが作っておいてくださったゴーヤと冬瓜のチャンプルーとおでんをつまみ乍ら、午後9時のタイムリミットまで。
花子さんは夢の島大熱帯植物園で夜光キノコの生態を激しく研究中のため、残念乍ら最後はお会ひできなかったが、謝意を伝へ中島邸をお暇し、珍しく直ぐ来たバスに乗って亀戸まで。あとは中央・総武線で新宿まで数十分。
いつしか本降りになってきた雨にけぶる夜の新宿を撮影せむと歌舞伎町方面に出てみたものの、「ブレードランナー」または「ブラックレイン」風に撮影するには十分な状況ではあったものの、足下のサンダルと井上陽水的に傘の無いことが禍し踏査出来ず。
予定通り、雨のそぼ降る西口の路上でバスに乗り込み、午後11時出発。今回は横浜経由の豊橋・名古屋行き。予想通り車内の冷房がちょっと寒いし、横に来た兄ちゃんの体格大きくてぐいぐいと押されるし、ワンセグケータイのヘッドフォンの音がうるさく、予想通り車内での睡眠は絶望的だらうな・・・
(-_-;)