雁合式2

無印良質チャートの石核

今天終日曇天にて、殆ど厳しき風は無けれども同時に陽光も無き故に肌寒く、地面に突く膝も忽ち冷たし。
今天は学生有志諸君三名様の参加を得、冷ゑた大地に活気が加はる。先年段丘下の宮西遺跡を発掘調査した経験を持つ彼らであるが、段丘面の遺構検出は恐らく初めてのことだらう。被熱礫に混じり、多くの剥片や石器、早期前半の土器片を出土する集石炉遺構に残したセクション用のベルトを、三人で慎重に発掘してもらうことから開始。底面に至るまでに、相当量の資料を得る。不定型な土坑底面にはやはり、砂岩質の大きめの石が或る間隔を保ち配置されたやうに存在し、脇の方には非常に良質なチャートの石核。厚さ10cm近くある盤状で、一辺に掻き取ったやうな断面があり、良質なチャート製石槍や石鏃にしばしば見られる黒い筋が何本もランダムに走ってゐる。土坑の片隅に埋納されたかのごとく存在し、被熱の痕跡は殆ど無い。
残された僅かな時間と段丘面に、見残した遺構は無きやと、乾き硬く締まった地表面を果敢に検出する。新たなる炉穴ではないかと期待されてゐた赤化面は、立ち割の結果炉穴が削平されたあとの床面の残存であることがわかった。しかし、周辺には被熱礫も転がってゐるし、剥片も出る・・・
(-_-)
        
このやうな現場を他所に、資料館では大文化財担当者会議?と講演会??
数十名の参加者のなかの有志一同様御一行様、夕刻前に現場見学に来られまして、皆さんに此の貴重で儚き重要遺跡の調査現状を見ていただくことが出来ました。
学生有志両名様は大学方面での特殊工作残業の為御帰宅なさいまして、毎度の御協力に感謝。<(_ _)>明天は入れ替はりに別同部隊2名様のご参加とのことで、更なる新発見を期待しております。
           
愛知学院大学的有志諸君、炉状遺構の余熱にて暖を取るの図
            
OGR君、一人居残りて深夜に出土遺物を洗ふの図

           
さうさう、やうやう今天大晦日にて、今頃賀状書きしたためる丑三つ時にて候。