幻想手法

大岩に寄りて眠るものは

開館記念のイベントで賑はふ資料館を捨て置き?、犬山方面へ。
しかし、いつものJRではなく名鉄さまを選択したのが運の尽き。本線上で臨時停止すること20分ほど。車内アナウンスに曰く、「先行する列車がイオンを感知し、只今○●駅で緊急点検をしております。お急ぎの処ご迷惑をおかけしますが、今暫くお待ち下さい」とぞ。
車内の喧噪ではじめの数回はよく聞き取れなかったのだが、三度目の正直で聞き取れた。しかし、「イオンを感知」の意味がわからず、考へること数分。オゾンホールの拡大によって、有害な宇宙線が此の中緯度温帯地方にまで達し、その感知器を装備した列車が停車した? それとも、勤労感謝の日で賑はひほぼ満員御礼の車内における特定のイオン濃度が臨界値に達し、停車して換気中?
結局、イオンとは異音であったことが判明するのだが、本線上での20分は痛手であった。このロスは乗り継ぎ駅でも影響を及ぼし、路線合流の為に先行車両が渋滞し、更に待つこと15分。合計30分以上の想定外時間差が発生し、余裕を持って会場に出現する予定が駅から小走りで急ぎ行くはめに。
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会場は満員御礼。シンポジウムは淡々とした事実報告から始まった。レーザー計測で三次元画像として表現された古墳の全体像や、トレンチに出現した葺き石の蝟集する様。古墳の輪郭や範囲を確定するために行はれたデータの集積が、新たな事実を炙り出して行く。予感に満ちた報告であった。
次に、浮神博士と関係者らによる対談形式の討論。今回は第二部にミュージカルが上演されるため、流れをそちらに向けた内容となったが、雰囲気の盛り上げ方としては大変成功したのではないだらうか。
考古学的情報はともすれば無味乾燥してゐて、人の血の暖かみや吐息などとは縁遠い領域に鎮座してしまってゐる。このやうな乖離状態は考古学者側から解決される兆しなど殆ど無い状況であるが、人民に顧みられない考古学研究などに、いったいどれほどの価値が有るのか。
観客の殆どが地元の人々のやうだし、年配者が多いやうだ。勿論、第一部の考古学的情報を求めての客も混ざってゐるので、ミュージカルの準備中に帰ってしまふ人々の姿も見られたが、始まってしまへば会場の雰囲気は一気に大王の時代へ。
          
若者を中心とした勇気ある志願者達によって演じられた古代のものがたり。
浮神博士の夢と説をかたちにしたこの演舞歌劇は、考古学的成果を巧みに織り込みつつ、大胆な新説をも人々に提示していく。今後はこのやうな手法も、あらゆる学問的分野で必要になってくるだらうし、今までの大多数の考古学者達の怠慢に楔を打つものでもあるのだ。
           

          
見終はったあと、不思議な感動に包まれたまま、電光石火の早さで電車を乗り継ぎ、資料館へ戻る。今夜はボランティアの学生三名様御宿泊にて、賑やかしき夜になりにけるかも。
            
 
駅前スパイラルビルのほぼ完成記念で、今宵は鳥インフルエンザ予防のためのトリ味噌鍋にて候。