電影日

カフェにて

月曜日は映画の日
"pariscope"の情報を精細に検討すれば、さまざまな映画を日に4本くらいは見て歩くことは可能だ。勿論、これはパリ市内のメトロでカバーできる範囲に限った事だが、殆どの映画館はこの範囲に存在するので、電光石火の術も不可能ではない。
今天1本目は中国作品、LE DERNIER VOYAGE DU JUGE FENG、とフランス語で書かれてもなかなか意味不明だが、原題は「馬背上的法庭」と内容をそのまま表したもの。雲南省西蔵寄り、奇しくも昨年の今頃通って来た地域を舞台に、車の通はない山間過疎の少数民族部落(イ族やモソ族)地域を巡回する小法廷をとりまく話。馬の背には中華人民共和国の紋章(五紅星と天安門のデザインされた公式の器物)を象徴物に、なぜかテレビやその他のものを積み、幾つかの村を巡り仲裁や裁判などを行ふ。主演の李保田がすばらしい。
第2本目は日本で見逃してゐた "THE QEEN" ダイアナ妃がパリで事故死した時の、エリザベス女王の苦悩やトニー・ブレアの活躍ぶりを描く作品。何より女王になりきった主演のヘレン・ミレンが素晴らしいが、ブレア役のマイケル・シーンも他の作品からは想像できないやうな風貌と演技で迫る。皇室のけだるい雰囲気や閉塞感まで表現されてゐて、大変興味深かった。
ちなみに月曜日は映画割引の日で、ふだん€8だったり€10だったりするのが€5.5くらいになるのだ。これは昔から同じなのだが、パリの映画館も徐々にシネコンに集約されつつある。勿論シネコンの恩恵もあるのだが、切り捨てられてしまふ作品も多いだらうから、手放しでは喜べないワケで。ちなみに "THE QEEN" 上映の映画館は普通の建物を改造した小さな館で、それでも上下2階に座席を分けて、どの席からも観やすいやうに工夫されてゐる。またパリでは珍しく、小さなスタンプカードもくれたので、5回分ためると何らかの恩恵があるのだらうね。