那覇、ふたたび

ソーキそば、350円也!

極めて穏やかなる航海。
見渡す限り波頭白くさんざめくも無し、うねりも無し。静かな静かな、南洋上の夜明け。
気がつけば、水面を無数に飛ぶもの有り。はじめは鳥の群れかと思ったが矢張り、飛び魚の群れ。飛行角度が変化するにつれ、銀鱗が目映く光り輝く。彼らは何処へ飛んで行かうとしてゐるのか。
昼頃、行く手に島影の見ゆ。あれは何島か?慶良間か? 此の近海のことなど、まだまだ無知に等しい。
午後1時、本島南部を大きく回り込んで、あそこに空港、あのむかうに県庁の銀鱗、そして彼の山並みの上に首里城の影。そして船はとまりんの大きな太鼓橋を右手に、那覇新港へ。予定通り1時半着。船内で入国審査が行なはれ、下船。ミニバスにぎっしり詰まって港の税関へ。今回は新人君の研修中の様子で、全ての荷物をチェックされる。是は何ぞてう質問にいちいち答へるのだが、我輩の回答がわかったのかわからんのかよーわからんやうな反応で、何とも心許ない。まあ、よしとしやうか。
勿論宿のあてなど無いが、それよりも我輩の関心は明晩出航するかだうかてうこと。窓口で訊ねても、台風の進行状況次第なので、明日にならないとわからないさーてうことで、要するに有村からの連絡待ち状況に。往路は那覇で5日間も足止めを食って即身仏になりかけた為、だうしても帰路くらいは順風に行きたい、などと言うても相手が大自然様のこと故、致し方無きこと。
先づは、船中で同室となった3人で出租車駆って国際通りまで。あとはぶらりと、結局前回後半を過ごしたステラリゾートの1泊1500円の蚕棚に納まりたりける。そしてずるずるとまた、さんぴん茶啜り、350円のソーキそば(おいなりさん1個付けて400円也)喰ふなりけり。
夕食は同宿となった台北在住のK氏とともに、牧志公設市場で約束した魚屋さんで1人千円出して刺身の盛り合わせ。2Fの繁華な食堂でオリオンビールの生を飲み乍ら、2000円とは思はれぬ豪勢な舟盛り(シャコ貝やイラーブーチなどなど、7種類ほどの盛り合わせ)つまみつつ、あーでもなければかうでもなく、ましてやさうでもなければどーでもよいだの、台湾のことだの日本のことだの琉球のことだのいろいろ、あてなく話すもまた愉しからずや。
食事後は、国際通りから桜坂界隈を散歩。それにしても飽く事なく通りを行き交ふ人々は、いったい何処から来て何処へ帰るのだらう?
空には月と星、されど天を仰げども其処に台風の姿無く、然し厳然と存在感を発揮して方々に影響力を及ぼす。そんな存在に、私はなりたい???