入梅の頃

現在の日常の片隅の一コマの一部

大規模なドラッグストアに潜入。
薬品類や、新奇工夫のされたさまざまな商品をつぶさに観察してゐると、化粧品のコーナーで何やら客と店員があれこれ言ひ合ってゐる模様。何となく聞いてゐると、買った化粧水だか乳液が full =満タン=いっぱい入ってゐなかっただの何だの。女性店員は「さういふことは無いと思ふのですが・・・」などと申しておるが、客のヤンママは納得いかない様子。事の真相は不明だが、店側は新品に交換せざるを得ないのだらうね。
(−_−)
大規模工作現場視察からの帰路。
交通事故の現場に遭遇。脇道から出てきた車に、国道を走る車がオフセット衝突した模様。片道一車線を塞ぐやうに停車したファミリーワゴンと、歩道に寄せられた小型常用車、そしてそれらの運転手とおぼしき人たちと今し方到着した警察。事故現場独特の乱れた気が、入梅を迎へ緑滴る銀杏並木の合間に漂ふ。渋滞の始まった脇をしゅるりと抜けてみたところで別の事故。こちらは国道沿ひの喫茶店駐車場から出てきて、自ら道路の縁石に乗り上げて動けなくなった若奥様風情。車の先端が国道側にはみ出してゐるので、忽ち通行の妨げになってミニ渋滞発生の様相。霧雨にけぶる梅雨の日の夕方の一コマ。
(−_−)
招待所での出来事。
右隣の住人、小雨降る中ベランダに出て何かをしきりにはたいてゐる様子。音からしてバスタオルか敷きマットだったのだらうか、そのうち叩くバランスを崩して外に落としてしまったらしい。此処は2Fだから、慌てて取りに行くのだらうと思ひきや、さういふ気配は無い。そのうち日も暮れて、真下の住人も帰宅した様子だが、2Fからの落とし物に気付く様子も無い。何とは無しに其の一連の情景を耳で想像してゐた我輩の方が、落としたヒトや落ちたモノや見つけるであらうヒトのことが気になって仕舞ひ、深夜に至り小雨の止みたりけるを計り、ベランダに出て下を覗いてみた。すると、其処には堆く積まれた段ボールと空き缶を入れたゴミ袋の山、そしてその上に落ちたのであらう、雨でぐったりべったりとなったバスタオルのやうなものが見ゑた。さて、だうして隣人は落としたものを取りに行かないのかしらむ? 落としたモノのことが気にならないのだらうかしらむ? 実は落とし物ではなく、ベランダから下に捨てたのだらうかしらむ? 1Fの住人は此の落とし物が気にならないのだらうかしらむ? 気付いていないのだらうかしらむ? 無頓着と無関心、無意味と無碍。
(−_−)
電網絡で注文した書籍が届く。
招待所の我が独房の電脳端子から発せられた電気信号が、いったいどのやうに何処をだう伝はって行って、この配達を発生させたのか、其の仕組みは謎に充ちてゐる。何気ない凡人のワンクリックが、世界を破滅に導くことも有るのだらう。電脳世界の仕組みは複雑だが、其の基本は単純だ。単純な現象を複雑化し、複雑系と認識し、ややこやしく解釈してわかりにくく説くのは人間様の仕業。
(−_−)
ヒトとヒトの関係は繊細微妙なるもの。
感情の些細な毛羽立ちが其の関係を悪化させたり、コトバの些細な使ひ分けが信頼感を増幅させる。情緒と言霊は一心同体、ヒトの生命の根源と直結した現象の一部であるが、目に見へぬ亜空間にも魂魄の如き浮遊因子が棲息してゐて、ヒト同士の関係を切ったり繋いだりしてゐるのだらうね。
(−_−)
            

梅雨小袖昔八丈 髪結新三 籠釣

梅雨小袖昔八丈 髪結新三 籠釣