降雨余情

雨に咲き 雨を謳へり 菖蒲草

大いに雨降り、昨天引ゐて積み置かれた雑草も、寧ろ青々として元気がよろしい。
(−_−)願はくば、再び根付くことなどなかれよ・・・
              
海老煎餅の喰ひ過ぎで、多少胃の腑が荒れた様子。追ひ打ちを掛けるやうに、密かに入手した塩水洗ひ仕上げ式仏蘭西製カマンベールを厚めに切り、トーストの上に苺のコンポートやプレーンヨーグルトとともに盛りつけ、むしゃむしゃと喰ふ。更には、先日頂戴せしキウイジャムをたっぷり、プレーンヨーグルトに混ぜて大いに喰らふ。此の逆効果の御蔭で、我が胃の腑は元気を回復するのであって、こんな時にはピロリ菌もいったい何処に隠れてしまふのやら・・・
早晩、仏蘭西国には新大統領が誕生することになるが、右派・国民運動連合(UMP)のニコラ・サルコジ総裁(52)と左派・社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル元環境相(53)の決選投票、どちらに転んでも目新しさが有って興味深い。サルコジ氏は嘗て、「自分はメリケンサルコジなのだ」と公言して憚らない、従来の仏蘭西人像には当てはまらない奇妙な人物だ。他の先進国に比べて少ない労働時間や多いバカンス時間にも注文を付け、メリケン式の労働環境を採用しやうとさへしてゐる。皮肉なことに、この最低限の労働時間規定の御蔭で人々が家庭で過ごす時間が増ゑ、結果的に出生率が回復した・・・ 勿論、人口の増加は将来的な税収の伸びを期待させる吉兆なのだから、国力を計る意味では現況の社会体制の方が優位なのかもしれない。
(−_−)さて、だうなりますやら。。。
            
日暮れて猶、道遠し。
小雨はいつしか霧雨に。招待所へは数時間の大帰路、霧雨はいつしか濃霧に。静かな静かな夜の帳は下りて、今暫くは看電視節目。『風林火山』のテーマ音楽は千住明の作曲。戦場に馬駆けるの様子を彷彿とさせる小気味良いリズムの上に、劇的な旋律が跳躍する。わくわくするやうな躍動感と、繊細な情感を兼ね備へた壮大な名曲と思ふ。演奏も非常に素晴らしいので調べてみると、
              
                   

風林火山」の音楽について        千住明

まだ11月の初めだというのにワルシャワは雪だった。大切な録音をする時、物理的にそれが許される時、僕はここに来る。ショパンコンクールの本選会場としても知られる国立フィルハーモニックホールで、ワルシャワ・フィルハーモニックオーケストラとの録音セッションである。団員もスタッフも、そしてチェコから呼んだ指揮のマリオ・クレメンツ氏も今回の録音はただ事でない事を、10数年のつきあいから感じ取ってくれた。「風林火山」の劇中音楽のテーマ群はここワルシャワで録音される。過去の争いや迫害の歴史の上にたつ東ヨーロッパ独特のエスプリは、人類の戦乱の陰も陽も表すのにベストである。この作品に流す血には彼らの音がどうしても必要なのである。
 9月に高関健氏指揮のNHK交響楽団でメインテーマの録音は終わっている。十分な手ごたえと共に大河ドラマメインテーマの王道、直球ど真中を投げた。意外と驚かれるが僕は今回が大河ドラマ初となる。映像音楽は縁から始まる。仕事を始めて20数年、「風林火山」と巡り合い、満を持しての大河登板に武者震いがした。戦乱を生き抜く知恵と勇気と愛、野望と挫折、そして男と女。作品と日本の感覚を国際語の音楽で表し、ワルシャワでは人類共通のエスプリで共鳴してくれる。そしてその方法は心得ている。
 雪の止んだワルシャワの空は深く重くしかし透き通っていた。先程まで響いていた音楽がまるで日本まで届いていたかの様に、ぽっかりと空いた雲の隙間から夕陽が空を染めていた。              
                      (NHK風林火山』のホームページからの引用)
                

         
演奏はワルシャワ・フィルハーモニックオーケストラだったのですね。
先日の世界遺産の番組で紹介されたワルシャワの旧市街の事、ちょっと思ひ出してしまひました。駅でパスポートを盗られ、英語を喋る若者らに助けられて汽車賃を工面し、グダニスクからワルシャワまで出、ベルリンからの送金を待ってゐたのは今から18年も前のこと。毎日、トラムに乗ったり旧市街を彷徨ったり、ヴィスワ河に架かる橋でぼんやり過ごしたり、虚ろで不安で非現実的な1週間だったが、そんな彷徨の果てにいつのまにか国立フィルハーモニックホールの前に来てゐた自分に気付く・・・ 
全ては、今は昔の出来事。