蓬生

この青々としたよもぎふを見よ!

今天は灌仏会、こと花祭り
釈尊の生誕を歓喜した八大竜王が甘露の雨を降らせたてう由来から、仏教寺院の中庭に開帳された誕生仏に甘茶を掛けて祝福し、それを少しく持ち帰り、墨を擦って虫除けの呪文を書けば、霊験あらたかなりけるてう。我輩も御幼少の砌、近所の大なる寺院を訪れて珍怪な誕生仏に盛大に甘露を掛けたものだ。
奇しくも今天は耶蘇の復活祭。どんな算出方法かは知らんが、西方教会東方正教会のそれは日時が違ってゐたと記憶してゐるが、今年は両者とも同日だ。
もののついでに今天は何故か「ヴィーナスの日」。1820年の此の日、ギリシャのミロス島で大理石のヴィーナス像が発掘されたことに因むとのこと。勿論それは今、巴里に居る。
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今天は朝から穏やかに晴れて、昨日の泥雨黄砂雨も今何処。四季咲きの薔薇は深紅や赤紫の新芽を枝先のいっぱいに付け、三椏は青々とした若葉を伸ばし始め、雑草と見分けの付かぬ若蓬はどこまでも柔らかなる緑色を茂らせててゐる。思はず若芽をいくつか摘んで、さっと茹でておひたしに。其のほろ苦さは春の特権にて、大量の胡麻とせうゆで甘辛く味付けすれば、それはそれでまたいと旨し。
明るきうちはひとしきり、庭でバイクだの軽バンだの洗ったり、草掻き水換へ枝切り石並べ、大いに動き回る。黄昏の後は部屋のあれこれを片付けては引き散らかし、引き出してはまた仕舞ひ込み、一体何してゐるのやら。心配してゐたへっぽこネズミも出ておらず、蚊虫も蜚?も未だ早きにて、極めて弛緩した数時間を過ごした後、夜に至り招待所に向かって出発。数時間の後、やうやう到着せり。
言ふまでもなく、それはそれで大いに疲れたりける也。
           
甘茶日記