工作員の資質

わ〜い、でんしゃだでんしゃだー

大都会へ。
来週からやうやう本格化する工作活動の打ち合はせが目的だが、その前に駅前で潜伏先の招待所に関する諸手続きをせねばならなかったのだ。しかし、これがなかなか多難であった。
第一に、本人確認。弁公室の電脳に入力されてゐた登録情報が、名字冒頭一文字の読み方の違ひに因って画面に引き出せず、本物の工作員であるかを疑はれる始末。工作証を見せよと言はれるも、臨時雇用の秘密特殊工作員にはそのやうなものは支給されず、予め用意しておいた運転免許証と工作用の名刺でなんとか折伏し、次の段階へ。
今回潜伏する招待所の鍵は古典的な金属製で、前回のやうな電子チップの内蔵されたカード式とは違ってゐたが*1、当然あるものと思ってゐたスペアキーが無い。自分で作りなさいてうことだ。鍵の受領に関する書類に署名し、無事受け取る。
次は個人的な工作車として使用してゐる軽自動車の駐車場手続きだ。前回同様、勿論招待所個室とセットになってゐるものと思ひきや、今回は工作員の個人負担とのこと。予定では半年間の先払ひ扱ひとなってゐた為、三万数千円以上の現金を此の場で直ちに払へとの命令。不幸にして手持ちは一万円弱であるし、近くに銀行はぎょうさんあれども口座に置いてあるのもこれまた一万数千円ぽっきりであって*2、合計すれども足らんではないか。致し方なく、リュックの奥底に隠し持ってゐたT/Cこと Travelers Cheque *3を両替することにした。
弁公室にはすぐ戻る旨を伝へ、至近の銀行支店に出向けども、此処では両替出来ないとのこと。日本人が日本円のトラベラーズチェックを日本の銀行で何故すんなりと現金化出来ないのかは頗る不可解なことであるが、此処で激高して窓口嬢の頸を絞めたりカウンターをひっくり返して暴れたのでは、足がついてしまう。工作開始直前の目立った行動は、極力控ゑるのが工作員の常識なのだ。では何処で両替できるのであるかと、大臼歯を強く噛み合せ乍ら尋ねると、地下鉄で一駅行ったところに鎮座する当行の大本営であると宣ふ。致し方無く地下鉄で電光石火に往復し、約半時間後に弁公室に戻ると、我輩の担当員は別の客の相手をしてゐる。
脇の待ち合ひで待つ身に辛き置炬燵、御客様は実に要領悪き学生様にて、書類を書き直したり捺印したり説明受けてゐる最中にケータイメールチェックするわでいろいろのやきもき。もー、事前に書類貰ってるんならちゃんと記入しておけよなー。。。
他の服務員は仕切りの奥で談笑してゐるやうであり、出て来る気配は無い。すぐ近くに座ってゐるお嬢様はニコニコ笑顔専門の受付専科らしいので、契約の詳細などは取りつく島も無い。結局書類上の保証人だの連絡先だのがあーだこーだなんだかんだこれぢゃーだめだのそっちに書けだの捺印は7箇所だの三枚目が御前様の控ゑだのそーだのなんだのといろいろあって、都合1時間半以上を右往左往で費やし、虚しく汗をかく。
これぢゃーまるで一昔前の中国並みの不便不自由さではないか・・・
美しい日本は、諸事務手続きも美しく処理されるべきかと。。。
     
     
ASIN:B000F7XTZ6  気分転換にしばらくお花でもご覧下さいませ
   
      
そんなこんなで大いに余裕を持って大都会に出て来たつもりが、結局打ち合はせ直前の合流と相成り候。

それにしても、田舎の外気温を基準とした服装で都会に出て来ると、とんでもないことになる。電車も地下鉄も地下街も店舗の中も、どこもかしこも過剰な暖房で大汗かくばかりなりけり。
いと恙無きや、よやよや・・・・・・・・・

*1:特殊秘密工作員であるので、前回と同じ潜伏先などはあり得ないのである。本来なら毎天でも居場所を変へるべきかもしれないが、それでは浮遊因子か浮浪者、または流浪の民である。

*2:優秀なる工作員ほど、江戸の昔から宵越しの金は持たないものなのだ!? ホント??

*3:旅行小切手