椿の薮は、花ざかりの森

文字通りのヤブツバキ

庭の生け垣の椿の花が満開で、メジロが群れ遊んでゐる。
さすがに万朶の茶花には及ばないものの、この冬の椿花は蕾が多く、開花も著しい。メジロは群れて花の何処を啄んゐるのだらうか。
直線的に飛び交ふメジロの嘴は、椿の花粉で黄色くなってゐるやうにも見受けられるので、花の芯近くまで嘴を差し入れて、仄かな甘味を探ってゐるのだらう。その姿は愛くるしく可愛らしく、その鳴き声はチュチュチュクチュクと可憐であって、椿の茂みに飛びつ隠れつ群れ居る様は、実に風流極まりない。
それに比べ、ヒヨドリの粗野なること。
メジロやスズメたちを蹴散らして、粗野に尊大に飛来する。葡萄の房も柿の実も、何もかも真っ先に突っついてしまって、収穫の計画を無茶苦茶にしてしまう。逃げ去る時の鳴き声といったら、ギャーギャーと悲鳴や喧噪に類する響きだ。彼らは結実しつつあるキャベツやレタスの中心部をも喰ひ散らかしてしまうのだ。
でも、これもまた野鳥それぞれの個性のこと。