TOKIO,TOKYO,TOUKYOU

摩天楼の背後には富士山も・・・

東京へ。
新宿の高層ビル群を遠望する宿舎は、飯田橋駅に隣接したビルの18F。いつもは2段ベッドが向かい合った4人部屋なのだが、今回は奥の8人部屋だ。今宵の同室は、倫敦在住の印度系英国人、台湾人、フィンランド人、そして日本人は小生の他に無口なおじさんと、夜遅くに韓国人のチェックインで6名だ。外国人はいずれも若者で、個人旅行としての来日。
フィンランド人は趣味でサイケデリックバンドをやってゐるといって、自主制作のCDをくれた。関西に飛来したあと、京都奈良、広島から博多、そして大分別府まででかけてから火山見たさに阿蘇山を目指すも五里霧中。そこで出会った旅人に天橋立のことを聞き、再び京都経由ででかけてその美しさに感動し、やっと東京に到着したとのこと。バンドをやってゐる22歳てうことだから、さぞかし東京にも興味があらうと勝手に思ひきや、ここには1泊だけで、明日には早くも日光へ向かうてう。東京は映画の中に居るやうで素晴らしいが、せっかく来た以上は可能な限り日本のいろいろを見たいとのお言葉。都合2ヶ月近い大旅行になるワケだが、我が祖国の交通費を筆頭にしたその他諸々の物価の高さが、何故か申し訳なく思ふ対話だった。
途中参戦の倫敦人青年、外見風貌は印度人そのものだが、非常に上品な英語を喋る。聞けば4世代目、彼にしてみれば自身は生粋の倫敦っ子てう気持ちなのだらうが、印度人コミュニティーの紐帯の恩恵も十分受けて育ったに違ひない。3人でトウキョウの地図を広げ、眼下に広がる幻想的な夜景を見乍らとりとめもない話をしてゐたのだが、ふと彼が口にした一言が印象的だった。
「トウキョウにも印度人は居るのかな・・・」
ラフな背広姿で帰って来た若者、その仕草や持ち物の様子から日本人かなと思って「こんばんわ」と挨拶したのだが、むこうも自然に「こんばんわ」とぞ。テーブルのところで我々3人が喋ってゐると、ジーンズに着替へて英語で参加してきたのだが、その時の自己紹介で台湾人であることを知る。普通話(マンダリンのやうなもの)で喋りかけてみると、驚いた様子。彼は3度目の来日だが、いずれも仕事でのことてう。26歳の若者らしく、ホンネとしては「日本には仕事で来たくない」とのこと。初回は上司と一緒だったやうだが、前回からは折衝を任せられ、せっかく一人で来た以上、東京での自由時間ももっと欲しいし、日本人とも友達になりたい。ごくごく自然な欲求だ。
韓国人とおじさんとは、挨拶程度の会話しかできず。
この宿はかつて東京都の管轄下にあるユースホステルだったのだが、数年前に連盟から脱退し、施設と機能はほぼそのままに、民間資本で営業を続けてゐるらしい。19階には大浴場があったのだが、今回覗いてみると、大きな湯船は縮小されカランも2箇所だけ。その代はり周囲に壁とカーテンで仕切られたシャワー室が8箇所設けられてゐた。奇妙なことに、各仕切りの中にはシャワーの他、プラスチックの椅子も備へ付けられており、プライバシーが守られる?仕組みに変化してゐた。事実、小生が湯船に身を沈めてゐると、メリケン人の若者達が腰にバスタオルを巻いたまま入って来たのだが、わーわーぎゃ〜ぎゃ〜といって各ブースに逃げ込んでしまって、湯船には裸で入るのかだのジャグジーは無いのかだのと大騒ぎ。大きな湯船に皆でゆったりつかり、周囲のカランで汗を流すなどてう習慣は、やはり奇異に映るのだらうね。
久しぶりの「トウキョウ的時間」を過ごした。
     
     
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