地味と滋味

滋味や如何

芋切り干しの季節であることを思ひ出し、買ひ物ついでに探してみると、何種類か置いてあった。
細長い角切りのものと、斜めに平たく小口切りにしたものがあったが、いずれも見た目は真っ白く粉を吹き、如何にも美味しさうな様子。問題なのは200グラムほど入った小袋の価格だ。一番安いものが百円の角切りで、いちばん高いのが380円の平切りだった。此の違ひは即ち、地元国産と中国産の違ひに他ならないが、いずれも同一平面上に平積みされてゐる関係上、否応無く百円者に手が伸びる。しかし、今回に限っては、其の味の違ひを解明せむが為、3種類を購入。その結果は・・・
予想通り、百円と百三十円の大陸からの流れ者の味は旨味が乏しく、食感こそ満足できるものなれどポーションによっては何を食べてゐるのかよくワカランほど。それに比べ三百八十円の地物、恐らく地元のオババが自宅で切り干して作ってゐるものは、時折固いピースが介在するものの、とにかく噛めば噛むほど旨味が出てきて素晴らしい出来。稀に藁のやうなものの小さな欠片が口内に刺さるのもご愛嬌、多分筵のやうなものか竹箕の上で天日干ししてゐるからだらうが、芋切り干しなんて本来かういふものだ。
大陸者が何故に斯くも滋味(地味)に乏しいのかは、荒涼雑駁とした黄色い大地の連なりを一目見れば納得出来やう。それに比して我が邦は、曾ては生り成りて稔り余るほどの豊穣な大地多く、水も良く大地も良いの時代が永く続いたのだらうが、今やその謂ひも風前の灯。されど此の場に及んでもまだ猶、産物の滋味は大陸より勝ってゐるのだらうね。
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滋味風味