暮れ風情

行き先それぞれ

偉人の工作活動は永遠に終はらない・・・
昨夜は敢へてカーテンで結界し、深く布団に潜行し、「朝日」の感知を予防し、昼過ぎまでゆっくりと眠らうと思ってゐたら、何やら大きな音で朝7時頃目覚める。寝惚け眼でバルコンから外を眺めてみると、招待所の住人で毎朝派手なスクーターに乗って出掛けて行く茶髪の若者、招待所を回り込んだ通路奥の駐輪場から往還に出る植ゑ込みの角で大いにコケてゐる。膝を抱へてうなってゐるやうで、倒れたスクーターからはちょこっとオイルが漏れてゐるやうに見へたが、我輩は関知せず。工作員は如何なる状況下でも、勤めて相互関与しないのが鉄則なのであり、それほど工作員の任務は厳しいのである。
(-_-;)
結局二度寝入定を果たすものの中途半端さは拭ひ切れず、10時頃には完全に目覚めてしまった。大睡眠計画は脆くも水泡に帰したのである。
今天は新月、12月の開始。冬本番は既に迎へ、気候的にはその頂点を極めつつあるが、気が付けば今天の青空、明らかに明晰さを増してゐる。昨天より招待所に隣接した巨大染織工場の操業は中断されており、巨大煙突より毎天まうまうと噴出せる水蒸気とも煙ともつかぬ何物かの姿は無く、バルコンを開放しても独特の妙な臭ひは漂って来ない。これぞ、正月効果の一端であらうね。
結局今天も猶、工作所や工作現場に出掛ける始末。始末の後始末やいろいろな落とし前を付ける為に出掛けたワケだが、さう容易く物事にケリが付くワケでもなし。
(-_-)
そんな寒空の工作現場地内、吹き晒しの高架下をちらと覗ひてみると、先週は1人だったホームレスが3人に増ゑてゐる。三人三様、所謂段ボールハウスをカプセル状に築く者、厚手のマットレスを敷きて冬用の寝袋を用ふる者、見るだに寒そうな薄手のボロ布団1枚だけの者。。。 
斯くの如き現状を確認の後工作所に引き返し、使ふあての無い古毛布数枚に加へ、麦酒3缶、蜜柑3個、再び現場に向かふ途中でおにぎり3個を購入し、それらに幾ばくかの飴だの使ひ捨て懐炉を添へ持ちて高架下へ。マットレス上の寝袋に潜り込んでゐた男に声を掛けると、ヒゲばうばう髪の毛ばうばうの風貌でむくっと顔を出した。二言三言会話の後に持ち来たるものを手渡し、留守状態の二人の寝床にも同様の差し入れ置き去る。
別に明日は我が身とは言はずとも、世間様は暮れ正月の候。誠にささやかであり、こんなことをしたって彼らの人生が好転するワケでも何でもないし、我輩の行く末が開けたり過去の罪が精算されるワケでも何でも無いことは重々承知の上、これくらいのことしてやっても罰は当たらないだらう。
ただそれだけのこと・・・
(-_-)
そんなこんなで再びみたび工作所に戻り、新看板を設計してみたり、無限項目の一覧表を点検してみたり、工作道具を点検してみたりするうちにみるみるたちまち日は暮れて、そして又寒い冬の夜の到来。午後7時も過ぎた頃にちょこっと食材求めて近所の中規模超級市場へ出掛けたのだが、余りに多くの買ひ物客がゾンビの如く店内を彷徨っており、驚く。仮正月組の皆様方、こんなぎりぎりにお買ひ物?
(-_-)
今時は元旦であらうが殆どの店屋が開いてゐるので、日常生活にも正月生活にも何ら不自由は無いのだが、昔のやうな風情気分雰囲気は希薄になってしまったやうだ。世間様こぞっての休日動態は、既に終焉を迎へてゐたのだ。
今宵はNHK教育アシュケナージ指揮の第九を見たり、iTuneに取り込んだモーツアルトを聴いてみたり、コバケンの振るジルベスタ・コンサート見てみたりしてのんびり過ごす。招待所近辺ではバルコンを開け放ち耳を峙てても除夜の鐘など聞こへず、午前0時と同時に港方面から打ち上げ花火らしき音の響き来るのみ。都会には都会の正月風情が息付ひてゐるのだらうが、どことなく風情に欠けた気配と雰囲気。
これもまた、現代の一端。

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第九 21連発!!!

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