ハイドン・セット

黄金色に燃ゆ

今頃になってハイドン交響曲が無性に聴きたくなってきて、手持ちのCDアーカイブを引き散らかしてみるとたった1枚、ゲオルク・ティントナー指揮のものが出てきた。
NAXOSの廉価版だけど内容は素晴らしく、シンフォニー・ノヴァ・スコシアの音も瑞々しい。このCDはメモリアル・エディションなので、冒頭にはティントナーによる曲目解説が5分近く入ってゐるが、比較的平易な英語で恰も青少年に語りかけてゐるかの如き口調。さて、内容は交響曲103番「太鼓連打」&104番「倫敦」てう2本立てだが、我輩の興味は主に103番だ。いささか大仰なドラム・ロールだが、時間は短い。静かな明るさに満ちた前奏から、弾むやうな第1主題への移行は見事なもので、極めて古典的な解釈だが古さを感じさせない。音の強弱も比較的コントラスト強めで、音色は重厚。あっさりしたホルンの重奏で開始されるフィナーレまで、一気に聴いてしまった。
ハイドンの不可思議なるは、一見古典的な形式に見へて後のベートーベンの初期の交響曲作品をも飛び越してしまうほどの斬新なメロディーや展開が待ち受けてゐるところ。だからモーツアルトを聴ゐた後でも、ホットペッパー「まだ伴奏です」篇を見た後でも、リヒャルト・シュトラウス交響詩を聴ゐた後であらうとも、その都度新たな発見が有るのだ。
などとCDを取り出してゐるのが朝の6時前てう殊勝さ。招待所の隣人に配慮してヘッドフォンでの鑑賞だが、約63分間、寝起きのカフェ・オ・レ片手に寝床で半身を起こし、しばし優雅な時間を過ごしておりました土佐。今天は古代人との遭遇を兼ねた久々の帰宅にて、このあと7時半のご出発。いと恙無きや、よや。

ハイドン:交響曲第103番「太鼓連打」&第104番「ロンドン」

この偏屈な巨人の指揮でも、一度聴いてみたいな・・・