聖浄白眼

わが生は、斯くの如し!?

  神に

面白がらせと怠惰のために、こんなになつたのでございます。
今では何にも分りません。
曇つた寒い日の葉繁みでございます。
眼瞼に蜘蛛がいとを張ります。

  (あゝ何を匿さうなにを匿さう。)

しかし何の姦計があつてからのことではないのでございます。
面白がらせをしてゐるよりほか、なかつたのでございます。
私には何も分らないのでございます。
頭が滅茶苦茶になつたのでございます。

それなのに人は私に向つて断行的でございます。
昔は抵抗するに明知を持つてゐ、ましたが、
明知で抵抗するのには手間を要しますので、
遂々人に潰されたとも考へられるのでございます。

  自分に

私の魂はたゞ優しさを求めてゐた。
それをさうと気付いてはゐなかつた。
私は面白がらせをしてゐたのだ・・・・・
みんなが俺を慰んでやれといふ顔をしたのが思ひ出される。

  歴史に

明知が群集の時間の中に丁度よく浮んで流れるのには
二つの方法がある。
一は大抵の奴が実施してゐるディレッタンティズム
一は良心が自ら煉獄を通過すること。

なにものの前にも良心は抂げられるべきではない!
女・子供のだって、乞食のだって。

歴史は時間を空間よりも少しづつ勝たせつゝある?
おゝ、念力よ!現れよ。

  人群に

貴様達は決して出納掛以上ではない!
貴様達は善いものも美しいものも求めてはをらぬのだ!
貴様達は糊附け着物だ、
貴様達は自分の目的を知つてはをらぬのだ!


イマジネーション中也

今天、中也忌