天幕風のバッハ

フウトウカズラの花

鬱々として晴れやらず、ほぼ終日小雨霧雨降ったり止んだり。まさに梅雨的天気の一日なりけり。
今天は天幕の下、半地下の狭き地中に蹲り、古の人骨と対峙いたしけるもまたをかし。
二千数百年の歳月を地中にて過ごし、今この梅雨のまにまに霧雨を浴び、如何にして何処に蘇るか。
人知れず大地に溶け行くことも許されず、さりとて輪廻の波にも乗りきれず。
ただ、移ろひ行く人の世の哀しみや、虚しさに身を委ねることをも厭はず。
それでも我は、梅雨空にバッハを聴くなり。

バッハ:イタリア協奏曲