記憶の狭間

夢色睡蓮

THE FORGOTTEN に関しては、断片的で予告編から得られる情報以外には殆ど知らなかった。ジュリアン・ムーアの虚ろな表情はふと「めぐりあう時間たち」を思はせたが、息子の記憶を頼りに食ひ下がる表情は恰も「エイリアン」のシガニー・ウィーバーの如し。空撮や望遠を多用したモノクロームなNYの不気味な町並みや、自覚された記憶の虚ろさを共有するドミニク・ウェスト、「リディック」以来の無表情異星人をそつなくこなすライナス・ローチなど、極めて地味で渋めの配役。音楽のジェームズ・ホーナーも「タイタニック」の片鱗は見せず、不気味な音型で緊張感の継続に地道に貢献。決して傑出した作品ではないが、ノドに刺さった小骨のやうに、何か気になる作品だった。
物語の展開は予想外で、てっきり心理領域に展開して行くものと思ってゐたら、謎が解明されるに従って惑星外に広がりはじめ、X-FILES まがいの故事に収斂されて行った。また、一瞬スティーブン・キングの原作かな?などと怪しんでみたが、違ってゐた。惑星外領域、とりわけ現実逃避心理的に太陽系外空間領域に偏重した嗜好を持つ我輩であるので、この手の展開にいちいち驚いていられないワケだが、それにしても人間が突如、唐突に虚空遙かに吹き飛ばされてしまうシーンにはちょっと驚いたな。
でもね、何故ジュリアン・ムーアは「ハンニバル」のクラリス捜査官役など引き受けてしまったのだらう?
(-_-)

忘れな草/別れのワルツ~世界のワルツ