小事故的小故事

アヤメ、咲く

バイクで逐電途上、田舎のよろづ屋の駐車場に出てゐたタコ焼き屋に立ち寄った。若夫婦の切り盛りする小さな店だったが、みたらしだんごやお好み焼きもメニューにあって、よろづ屋帰りの客や近所の子供らでけっこう繁盛してゐる様子。6個入りが230円てう割り切れなさがオシャレ?な、謎の価格。コビト用に3個で140円てうコースも有るやうだが、1粒がかなり大きめなのでおやつには十分だ。
駐車場の脇の花壇に腰掛けてタコ焼き(ソース味で、からしマヨネーズは少な目)を喰ってゐると、通りがかりのバイクが2台、入ってきた。彼らはやはりタコ焼きと、自販機で缶コーヒー買って横に座る。軽く挨拶し、バイクの話やら行き先の話やらいろいろ。聞けば2人とも社会人で、週末ライダーとのこと。10分ほど話し、彼らは去って行った。タコ焼きを喰ひ終へてぼんやりしてゐると、ふらりと遊びに来た兄弟コビト、小さい方が花壇を飛び回ってゐるミツバチに驚き、突然走り出したとたんにつまづいて、大泣き開始。そんなところへ、買ひ物済ませたおばさんの軽トラックがバックして来るではないか。慌てて飛び出して助手席のガラスを叩き、車を停めた。コビトと後輪の距離は1mほどしかなく、まさに危機一髪。
驚いたタコ焼き屋の夫婦も出てきたり、運転してゐたおばさんやら、騒ぎに気付いた店の人、買ひ物に来たおばばさまたちも集まりちょっとした騒ぎに・・・ でも話はこれで終はらない。
恐らく、勝手知ったる近所の面々に不注意を咎められたからであらう、顔を上気させたおばさんは我輩にもぺこりと会釈して再び車に乗り込んだのはよいが、今度は車の周囲を意識し過ぎたか、キキッとタイヤを鳴らして大発進。通りに向けられたよろづ屋のおんぼろ看板を盛大にひっかけて倒してしまったのだが、気付いたのか気付かなかったのか気付きたくなかったのか気付かうとしなかったのかは知らねども、そのまま走り去ってしまった。そんな様子を見てゐたのは我輩とタコ焼き屋、そして新たに出現した大型コビト(自転車に乗った、恐らく小学校高学年の男の子)の4人だった。
呆れ顔で出てきたタコ焼き屋のお姉さん、「ホントにしょうがないわネー」と言って看板を立て直し、「ハイ」っと言ってみたらし1本くれました。
(*=*)?お駄賃??
海辺の田舎の、子供の日の一場面。

半島を出よ (上) 半島を出よ (下)
さう言へばここも半島だったな・・・