煙の如く
このところしきりに訪れる町の風景
たくさんの煙突が 始終まうまうと煙を吐いてゐる
「あれはけむりではなくて すいじゃうきなのですよ」と
見知らぬ女性が路上で囁く
「さふか あれはすいじゃうきなのですね」と
振り向いた時 彼女はすでに駅に向かって踵を返す
子供らが煙突を指さして
「あれは煙ぢゃないんだよ」って
何故に私に知らせるのだらう
「さふだねけむりぢゃないんだね」って
答へた時には子供らは
走り去る
橋の向かうに 走り去る
それでもだれでもいつまでも
煙突は始終まうまうと
白い煙を吐き続ける
黄昏来ても
煙吐く
始終
吐く