屋根は屋根屋

甍の波も今や死語?

宇宙の神秘を探るべく、屋根に登る。
古い古い家なので、瓦も以前から波打ち、安心して歩くことの出来ない様子だったが、先の地震で随分ズレが拡大したやうであったため、その現状を把握すべく登ってみたのだ。以前から雨漏りがひどかった部分が何カ所か有って、応急措置としてビニルシートなどの素材を被せ、石や余った瓦やいろいろなモノを載せて抑えてあったのだ。しかしそれらの重しも、度重なる台風の襲来でズレたり、一部の平瓦は強風に煽られて落下してしまってゐた。またしても雨の予報が出ておることもあり、応急措置は継続されなければならないのだ。
瓦など葺いたことのある人は少ないだらう。言ふまでもなく屋根瓦は総体として組み上げられたものであり、きっちりと組み合はされた中から1枚だけ抜き出すてうことは難しい。また、我輩の住まひゐたす家屋の如く、長い年月かかって全体が弛緩してずり下がってしまった屋根では、個々の瓦を取り替へることは容易だが、ズレを直すことは至難の業だ。1枚を直せばその左右前後に隙間が出来てしまうので、その縦列どころかその斜面全体を全て修正せねばどうしやうもなくなってしまうワケだ。宇宙の神秘に関しては大変な興味があるが、屋根全体を修正してゐるヒマは無いので、応急措置てうことになる。その容易ならざることは、自宅の屋根を穿って体験してみるが宜しひ。
そもそも瓦は大陸や半島からの伝来品であり、元来は寺院や宮殿に用ひられてゐた新技術だ。木組み板張りの斜面に土を盛り、その上にかくも重たい素材を並べて行くとは大仰なことだな、などと思ってゐた。しかし、真夏の殺人的陽光や紫外線にも、真冬の霜や氷点下にも、四方八方から吹き付ける風雨にも、宇宙から飛来する素粒子攻撃にも耐へ得るには、このやうな焼き物以上の素材はなかなか無いのだ。
さすがに、偉大な将軍様からの攻撃には耐へられさふも無いが、とにかく余り大雨になりませんやうに・・・
(-_-)