沈思

夕陽に映ゆ

各地でしきりに熊が出る。熊が人を襲ひ、人が熊を撃つ。
青空が広がり、風が凪ぐ。どこからとも知れず、金木犀の香りが漂ひ来る。
暖かさとともに、蚊虫も戻る。それとは別に、いろいろなところが痒い。
巴里より再び、小包届く。美味しそうなお菓子や、懐かしひ食品が詰まってゐた。
いにしへの長安より、墓誌発見の知らせ。大陸で客死した日本人の先達を思ふ。
静かな静かな秋の夜。何かの予兆を孕んでゐる。